旅
嬉しくない理由で急に3日間予定が無くなった。それで気分転換に山に行くことにした。山のことは以前から頭にあった。去年の東北旅行では自転車から手ごろで「うまそう」な山を見上げながらも、カカトの痛み(ミゾに落ちた)がひどく断念した。下界は蒸し暑…
瑞龍寺のしだれ桜。樹齢340年がたち、数年前、枯れる寸前だったのをベテラン樹医と町の人たちによる数度の大手術で復活させた。しまったブレたと思ったが、僕がふつうに撮るよりいい感じになった。なんども死に掛けてはよみがえった生命力を感じます。
ひとつ区切りがついたので、夕方になって足助へ出かけた。たった20キロ走っただけで、時間的にも空間的にも遠くに来た気分にさせてくれる。飯盛山(秋行くと光ってる山)の上までは割りと楽に登れた。何年か前は、暑かったせいか頂上につくとフラフラにな…
卒業生に知り合いがほとんどいないので半年くらい前から積極的に友達をつくろうとしていた。時々遊んでいたのが気のいい連中で、ほとんど接点のない僕を卒業旅行に誘ってくれた。曽我さんを励ましにいくとかいう理由で目的地は佐渡ヶ島になった。メンバーの…
友人Iはときどき鋭いことを言う。僕がついたウソを見抜いたり、難解な映画をわかりやすく解説してくれたりする。僕のB級ホラー好きは彼の影響です。そして、彼のケータイの着信音は「電話に出てくれませんかねぇ?」とささやく稲川淳二。3回リピートする…
地下鉄のドアが開くと女が乳母車を押して入ってきた。母親はドアに近い座席に座り乳母車をぼくの座ってる方に向けた。赤ん坊は丸々と太っている。歳はわからない。うまそうな匂いがしてきたので母親の方をチラと見た。乗客は4、5人しかいないし、パッと見…
上豊田駅から学校を向いて一つ目の信号を右に下る坂道がある。ぼくの下宿から最寄りの駅へ歩くには、逆にその急ザカを登っていく。昨日、5時まえの電車に間に合わないと分かっていたのに坂では走ることができなかった。帰省のため荷物が重く、病み上がりで…
名物の石段を登る。雰囲気がいい。有料道路が敷かれ観光地としてにぎわっていると思っていた。だから早朝でないことを悔やんでいた。しかし誰もいない。店といえば極めて入りにくい老舗の硯(すずり)専門店だけだ。段数だけ見れば熊本にある3‚333段の半分に…
かなり前にNHKで新しい建築を紹介する番組があって、ひとつ気になった美術館をメモしておいた。静岡県天竜市にある「秋野不矩美術館」という名前で、宮崎アニメに出てきそうな不思議で用途不明な建物が山の上に建っている。おもしろいのは展示室に入る前にク…
夕食をとりに外へ出ると今日は一段と寒い。空が澄んでいて毎晩きれいな月が見られる。この時間だとまだ月は低いけど、深夜2時3時に歩いて帰る日には頭の真上にきて足元にくっきり影ができるほど明るい。寒い夜、真夜中、明るい月に照らされて歩いている。…
情報提供者のおじさんは家に入ってしまったようだ。迷惑かとも思ったけれど、礼を言おうとチャイムを鳴らした。地元の人は塔やMPにあまり近づかないようで、塔が閉鎖されていることを知らなかった。ゴミを払って正面ゲートから出てきました、と言うと、よ…
旅 現実逃避は続く。今日のことで書けなければ、すこし振り返ってみよう。 ちょうど一週間まえ041107、岐阜へ遊びに行った。卒論がどうもスッキリしない自分のために、また、故郷に3年帰らずホームシック気味の留学生に元気出してもらう目的もある。8時半…
苫小牧から仙台を経由して名古屋へ。夏の終わり、旅から帰る人たちが多く、みな疲れきっていた。台風が来ていたのか、ずいぶん揺れた。船酔いには弱いほうだけど、1日のほとんどを寝ていたので気にならなかった。深夜1時に大波が来て和室大部屋の畳の上を…
これで最後なので日記も引っ張ることにする。気持ちを決めて走りはじめて、50メートル行かないうちに次々に道が分かれる。本線だと思って走っていた道は、山に入ると所々で木の根がアスファルトを持ち上げている、狭い林道になってしまった。のこり3本を…
電車を降りた鶴岡から月山を越えて天童市、山形市へ。持ってきたガイドブックの地図はアバウトで、直線距離で60キロないだろう、というところだった。直線距離なんてアテにならないものだけど、まじめに距離を数えたら気が休まらない。アマゾンからバンジー…
最初の長い坂を登り終えたところで道が分かれている。この先は一部自動車専用道になっていて、自転車は進入できない。旧道に回れという。分かれ道にある田麦股バス停に、自転車を停めて考えた。左手に見える旧道入り口は見るからに寂れていて、こっちはヤバ…
月山のふもと朝日村のアマゾン資料館に着くと午後4時半になっていた。谷間の道なのでもう薄暗くなってきている。道が見えるのはあと2時間と少しか。TVで知ってるかぎりでは前置きが長いんだよな。スタッフがバンジーの歴史を紹介してくれたり、ジャンプの…
ここまで暑くて困ることは無かった。山形は暑い。朝買ったチョコが袋のなかでフニャフニャなのに気づいて、もったいないから食べながら走る。手がベトベトにならないよう、袋の上からドロドロのチョコをうまく操作して口に運んでいるうちに羽黒山の大鳥居ま…
館長の山口良彦さんは(たぶん)鶴岡地区の名物男で、少年時代からアマゾンに憧れ、大学は、開発途上の南米に住み着くために役に立ちそうな農地開発などを専攻した。夢のとおりにブラジルで暮らし、アマゾンへ通った。持ち帰った資料で家が埋まり、個人で資…
アマゾン民族館へ行く。出発前から地図で見て気になっていた。こんな雪国にアマゾンなんて新鮮じゃないか。 まず食事を済ませて、それからゆっくり見物しよう。スーパーで食料を買い込んで、民族館の隣にある公園に着いた。広場が無いかわりに、芝生や緑地に…
終わりに近づいている。明日の昼には船に乗る。現地人の岩井くんが教えてくれた場所をいくつか回って、月山越えでささやかな「頑張った思い出」を作ったら、あとは流して仙台まで。電車で。予定がずれたので自転車は難しい。このあたりは見どころが多い。出…
秋田市は思ったより大きな町で、端から端まで走り回って駅に戻ると、またも電車がない。ぼくのメンタル地図では、酒田や鶴岡は隣町のようなものだと思っていた。窓口で聞くと、特急ならあるけど1万かかるという。対応した駅員は、僕の前でJRのツアーを調べ…
死んだ兄貴が住んでいた町をたずねる。アパートのある住宅地に着いたけど、表札を出している家が少なくて番地が分からない。庭の畑を手入れしていたおばあさんに声をかけると、家の中からいくつも地図を持ってきて説明してくれた。これは昔の地図、こっちは…
乳頭温泉郷といっても温泉街があるわけではなく、古めかしい温泉宿が一軒づつ離れて山の中にある。どこらへんを中心にするか、関係者のさまざまな思惑(おもわく)があって標識の内容も定まらない。残り9キロの標識を見てから20分走って、まだ9キロのま…
東北の池や湖はたいていが、女の涙がやがて池になり・・という悲しい伝説を持っている、と先生言ってましたね。例にもれず、田沢湖に伝わるのは「竜になった、たつこ伝説」です。美しくなるために湖の水を飲み続けていた女が、竜に変身して空へ飛んでいくと…
夜から空が晴れはじめ、寝袋にかけたシートをずらすと天の川まではっきり見えた。そのうち待合室の屋根にたまった夜露が落ちてきて、ビシビシ顔に当たるから、さいごに深呼吸して外の新鮮な空気を胸にためた後、ビニールをかぶる。今日の本命は、何かで読ん…
足が痛い。十日ほど前、溝に落ちてカカトを痛めてから、ずっと足を酷使していたからな。盛岡駅の構造はケガ人に残酷だ。奥羽本線の一部が私鉄になったので、一階にある私鉄改札を出て2階からJR改札に入って、一番遠いホームに降りると従来のホームは工事中…
十和田湖南駅の前の道で、大学の自転車部らしい4、5人に追い越された。ツーリング用に前後の車輪の横にバッグをつけた重装備だ。体育会系のよく聞き取れないうなり声で、掛け声をかけあっている。厳しい部なんだろう、よくまとまっている。道路の反対に渡…
旅の日程が決まると急につまらなくなった。予定を消化するためにただ移動している感じ。さらに、どこへ行った後どこへ、という細かいスケジュールまで決まってくると、講義かバイトに出かけるように気が重くなる。十和田湖畔を走りながら、十和田湖南駅から…
出発の準備をしていると人が来た。仕事に向かうお父さん。青森市のほうに用事があって山を越える途中にちょっと寄った。と想像します。「十和田湖まで登りはほとんどない」と聞いてほっとした。急に「おい!あれ!」と指差した方を見ると、小さくてわかりに…