日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

東北旅行・アマゾン民族館

館長の山口良彦さんは(たぶん)鶴岡地区の名物男で、少年時代からアマゾンに憧れ、大学は、開発途上の南米に住み着くために役に立ちそうな農地開発などを専攻した。夢のとおりにブラジルで暮らし、アマゾンへ通った。持ち帰った資料で家が埋まり、個人で資料館をはじめ、ちょうど「ふるさと創生なんとか」で国から金が配られたとき市が博物館を建ててくれた。この政策の珍しい成功例として、いろんな所から視察に来るそうだ。

どこも使い道に困っていた。僕の地元では純金でカツオを作って飾った。その後、盗まれて、溶かして売られた。(←よく読むと成功例でもある。勝者:中土佐村、敗者:高知市)民族館のほかに、自然の動植物に関するものを「アマゾン資料館」に展示している。

入ってすぐの「狩猟コーナー」。この写真にガツンとやられた。本当に地球上の映像か。間違ってないけど、タイトルとのズレが激しい。<アナコンダ>って付け足しても足りてないよ。少年が大事そうに大蛇のしっぽを持つ。大物を捕って誇らしいのか、夕食を楽しみにしてるか。この子の感じている日常は、温帯生まれの日本語には置き換わらないだろうな。

朝から庄内平野の稲ばかり見ていたから、アマゾンのド派手な装飾が鮮やかでよい。(同時開催のアンデス展も負けじと原色で張り合っていた)豊田に帰ると元の地味な趣味に戻っていて、他に撮った写真はキツすぎてだめだった。このマスクは日本人好み。よく見るとカメだよ。

面白かったもの

  • 吹き矢の射程距離は30メートル。30メートルはかなり長いぞ。本体も1メートル以上ある立派なもの。英語でblowpipeという。
  • マナティの鼻栓」アマゾン川にはジュゴンのような大きな哺乳類が住んでいていつも潜っている。狩人たちは、携帯用シャンプーくらいの大きさの木片を2つ持って川に潜り、休んでいるマナティの鼻の穴にフタをする。苦しくなり浮き上がって暴れるところをしとめる。車のマフラーに何か詰めたくなる万国共通のイタズラの原型があって、ここではそれが生き延びるための技術に高められている。すばらしい。
  • トゥカノ族の家は大きな多世代住宅で、平屋の工場のように見える。現地語で「マロカ」と呼ぶが、この言葉は宇宙、現世、人体という意味も持つそうだ。
  • 等身大のジオラマがあって、家のまんなかに置いたナベで怪しげなる液体を煮ている呪術師(シャーマン)がいる。解説を読むと、もっとも大切な魔力の源は呪術師でもナベでもなく、このおっさんが座っているイスだった。おっさんはそれを守るため座っている。楽だし合理的だ。
  • 海が遠いジャングルでは塩がとても貴重だが、ホテイアオイという野草を燃やした灰から採ることができる。
  • ある部族にはクヴァードという不思議な習慣がある。出産時に、弱った母親に悪霊がとりついて子供を殺すので、母親は悪霊に見つからないよう川に行って一人で産む。その間父親は悪霊を引き止めるために家で出産の演技をする。迫真の演技だという。これを聞いた時はいい話だと思った。今は、意味ないから止めて奥さん手伝ってやれよ、に変わった。
  • 何気なく壁に貼られた住民たちの写真がどれも良い。年取って、少しは偏見なしに見られるようになったのか。日々大学で、生徒から先生まで不健康そうな人たちを見慣れているから、写真から受けるジャングルの民の生命力にしびれるのかも知れない。