日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

東北旅行・欲ばりな女たち

東北の池や湖はたいていが、女の涙がやがて池になり・・という悲しい伝説を持っている、と先生言ってましたね。例にもれず、田沢湖に伝わるのは「竜になった、たつこ伝説」です。美しくなるために湖の水を飲み続けていた女が、竜に変身して空へ飛んでいくという話でした。

湖に降りて弁当を食べていると、首にタオルを巻いてウォーキング中の女性が二人通りがかった。いつの時代も美しくなるために努力を惜しまない女性がいる。(←ちょっと強引)姉妹なのか体格も顔も似ていて、太り気味というか太り過ぎで、顔はまん丸のおばちゃんたちだ。
遊歩道を右からやって来て、僕を見つけた。

姉?「あらまー!おいしそうね。」
妹?「朝ごはんかしら?」
(ちょうど正面をゆっくり歩いていく。目線は弁当)
姉「きれいな眺め見ながらだったら、何食べてもおいしいわよ。」
妹「おかずいらないわね。」
(左手のほうへ遠ざかる)
(もう僕に向けた言葉なのか、抑えきれない願望が口をついて出たものか、分からない)
(本人も分からない)
姉「また今日は、天気がいいから。いいわねえ。」
妹「ほんと。おかずいらないねえ。」

コロッケあげたら良かったかな。いや、おかず要らないのなら米か。

午前8時に、これを食うのか。田沢湖

いつからこんなに砂好きか砂浜好きになったのか、ここの砂にも魅かれるものがあった。遠目には水の線にそってまだらに層がみえる。一見、汚染され尽くした砂浜のようだが、近づくと色の違いは含まれる鉱物の違いだとわかる。もっと近づくと、砂ツブのひとつひとつが別の鉱物のかけらで、しかも混じって変な色じゃなくて、割れたての単色をしている。恐山と似ているけど、こっちのほうが複雑だ。

鉱物マニアは、この距離をもっと踏み込んでいく人なんだろう。机に前かがみで舐めるように見つめるが満たされず、ついに顕微鏡を持ち出す。反射板を操作する手が震えている。(←理科室のやつ)僕にはそこまではないな。砂浜ニアどまり。

少し離れた砂浜を歩いていた婦人が、いつのまにか後ろに立っていた。

「あのー、なんでここの砂は透明なんですか?」

そんなこと知らないよ。砂浜を見つめていたり、時々ほじったりしてるのを見て、研究者か、よく分かってるやつだと思ったらしい。火山だから、という結論にならない結論に二人で納得して、そのつながりで温泉の話になる。おばさんは僕があきらめた十和田湖から田沢湖へいたる道を来て、途中の岩手八幡平のふもとにあるトロコ温泉に泊まった。そこには地熱で暖まった岩の上に寝る「温泉」があるそうだ。病気やケガが治る、ガンも治るという。客は病人ばかり。ああやっぱ山越えたかったな。重そうに小脇にかかえていたものを差し出すと、赤茶色をした大きな石だった。さっき拾ったという。

「あのーこういう石とか、持って帰ってもいいんでしょうかねえ?」

だから僕に聞くなよ。旅の記念に、拾った場所を表面に書いて飾る。僕に適当なことを言わせて共犯者にするつもりだな。それにしてもでかいな、3キロはありそうだ。じつは僕もなんです、とポケットから小豆くらいの小さな石を見せたが、どうでもよさそう。大きくないとダメみたいだ。