日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

2018-01-01から1年間の記事一覧

(33) 兄の呪い 前編(1/3)

溺れて死ぬ。あれほど苦しい死に方はない。そう思っていた。 10年ほど前に沖縄の海で死にかけた。砂浜だけど急に深くなる。そして波が高かった。遠くの海を台風が通過していた。マヒのあるSさんを介助しながら遊んでいて、波で深みに運ばれた。手を離すと沈…

(32) 多摩スケッチ「飯能アルプス」

はんのう。心地いい響き。東京に移住して、最初の「最寄り駅」が飯能だった。 「飯能は東京じゃない」そうだけど、青梅市の山あいに住んでいて、100m先の成木川を渡れば埼玉県飯能市だ。調整区域で家は増えない。かわりに介護施設や精神科病院が建つ。静かな…

フィットする支援をめざす会 「Yさんに会えた」〜 八尾ゆうとおん交流「合宿」の報告

2日目の朝。B型と生活介護「ゆうとおんはーと」2階の作業場でYさんを待つ。 多摩の仕事ではあまり出会わない、清潔で広くて明るい空間だ。人気のない館内に大きなチャイムが響く。来たようだ。1階の玄関を通ると全体に音で知らせる。気のせいか畑さんが渋い…

(30) 多摩スケッチ「日野」

トイレで移乗をしてドアの前で待っている。試したいことがある。 床に座り両腕をついて腹筋で体を持ち上げる。数セット合わせて約1分。腹筋や体幹に効いてる。合図があれば、すぐに立ち上がれる。また一つ待機中の「内職」科目を身につけた。 スクワットや腕…

(30) 多摩スケッチ番外編・河内スケッチ「八尾」

この辺りのことは触れづらい。十代のときに四国から大阪に出てきた。初めての都会だった。 地元では、山と海、平地は田んぼとビニールハウス。そのスキマに街があった。都会ではスキマに緑が残り川が流れる。突然現れた広大な街を仕分ける。よく使う阪急沿線…

(29) 多摩スケッチ「登戸」

暗渠の愛好家がいるらしい。 フタをしたり舗装して道路になった川や水路のこと。向ヶ丘遊園駅のミスタードーナツの横の路地はフタをしたタイプだ。誰もが、迷いもなく、スマホの画面を見ながら入っていく。登戸方面への近道だ。 雨の日は水溜りができ、傘が…

(28) 多摩スケッチ「続・吉祥寺」

アマゾン・プライムばかり観ている。昔は、レンタル屋の名作棚を探したり、DVD宅配でマニアックな映画を借りていた。今はアマゾンのお勧めにしたがって漫然と観る。背伸びしてマニアックな作品を観ていれば、歳を重ねれば楽しめるようになると思ったけど、そ…

(27) 多摩スケッチ「吉祥寺」

ハトが巣を作ってしまった。 どうも無気力だ。引っ越して4ヶ月経つ。出窓の台の電子レンジはコンセントが抜けたまま、ものを温めず1日陽に当たっている。片付ける気力がない。「アラフォーの危機」と5月病がいっしょに来た。先週は雨に濡れて体が冷えきった…

(26) 多摩スケッチ「大泉氷川神社」

まずブレーカーを探す。上を向いて半開きの口のまま、天井近くの壁を見てまわる。引っ越して最初にしたこと。 初めての1人暮らしが不安だ、という人と話した。食事の準備・洗濯・掃除を1人でやらなくちゃ。やってみると逆の結果になることが多い。1人暮らし…

(25) PFウォッチャー日記(1) ピープル・ファースト・ウォッチャーとして

ピープル・ファースト(PF)奈良大会の実行委員会が始まるようです。2ヶ月に1度くらいのペースで委員たちが全国から支援者を伴って集まるというのは、なかなかのパワーが必要です。毎年の大会も盛況ですし、着実に活動を続けているように見えます。 もう一つ。…

(24) 多摩スケッチ「武蔵関」

「あさんはいつも薄着だね」冬になると何度か言われる。年々言われることが増えた気もする。若いなら「元気だね」だけど、くたびれた中年が寒々しいのかも知れない。外が寒い時期ほど電車や店での温度差があって脱いだりするのが面倒なんです。 地方で常に車…

(23) 多摩スケッチ「清瀬」

あのOさんの介助である。車イスを押している。 エレベーターが近づくと少し緊張してくる。突然、床にタンを吐いたりする。狭いハコに乗りこむ前の「身じたく」かと思う。電話がつながる前にセキばらいするように。外ならまだいい。というか耐える。改札前の…

(22) 多摩スケッチ「高尾山」

登りきるまでは歩かない。 そう決めた。即席のルールを頭のなかで繰り返す。高尾山の「1号路」を走って登る。思ったとおり面白くない山だ。石畳とコンクリートの道は広い。軽トラなら通れそうだ。トレイルランの練習に来た。タイツをはいて、最近やっと認知…