日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

奥三河・日帰り旅行2

名物の石段を登る。雰囲気がいい。有料道路が敷かれ観光地としてにぎわっていると思っていた。だから早朝でないことを悔やんでいた。しかし誰もいない。店といえば極めて入りにくい老舗の硯(すずり)専門店だけだ。段数だけ見れば熊本にある3‚333段の半分にも満たないが、近年話題づくりのため作られた物とは貫禄がちがう。杉並木を押し分けて通したささやかな石段ではなく、ゆったり広く杉の巨木を従えている。使われる石の量なら上位に入れそうだ。

肝心の鳳来寺は地味なつくりで、それもいい。山全体が聖地だから散らばっていて、一ヶ所にズドンではないんだろう。サブ寺の一つ、奥の院の裏の岩場から眺望が開ける。が、石段で体力も感動する力も尽きた。ああ山だ海だ高い高い。だって、とりたてて何もないから。おそらくあの眺めは大人向けにできている。この時は天気が良すぎた。400メートルの切り立った斜面のふもとから、低い山がどこまでも連なっている。海は、沿岸から30キロも離れた低い山からふつうでは見えない。しかし浜名湖がある。湖は内陸に入り込み、山々は湖を見せるように手前で分かれている。しかし、今日の空は真っ青で、もっともつまらない景色になった。背景はできているから、そこへ霧が出たり雲海になったり朝モヤが谷を流れたりして、一枚の景色が完成する。地となる山の色は季節とともに変わり、毎日毎時刻同じはない。と、なぜかフォローする。おまえイイもん持ってんだからヨー。

美術館には閉館30分前に着いた。絵に描いたような怪しい洋館だが、カメラマンは仕事しすぎだ。高原の丘の上にあるイメージだったのに、すぐ下には学校や公営住宅が見える。入り口が分からない美術館なんて初めてだ。フクばあちゃん(失礼)が描く土でできた民家を題材にしたのかな。民家だから実用的な入り口でいい。

寮に戻り車のメーターを見ると一日で300キロ近く走っていた。混む1号を避けたとはいえ、良かったのか悪かったのか。山道とはいっても地方県とちがい愛知静岡ではよく整備されている。2車線か幅の広い道がほとんどで、スピードを出せる。この先ほんとうに道はつながってるのか、と不安になったのは静岡側の県境を走る県道199号線だけだった。

例の滝にも寄った。夜の滝。滝まで川に沿って1キロ歩くのだけど、車の懐中電灯は付かなかった。月灯りをたよりに歩く。「七滝」というのは7つの滝が連なっているから。それぞれの滝が水の流れをスムーズに引き継ぐので、ひとつの滝のように見える。月光も僕の視力も弱く、陰になった山の黒い斜面を、ぼんやりと白い水がくねりながら流れる。夜の滝もいい。遠回りしたけど、いい寄り道だった。しかし、夜の川は寒すぎた。床で寝たのも悪く本格的にカゼをひいた。外に出られないので本を読んだり、ダラダラと日記を更新したり。内容もダラダラ。