日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

介助者を6年やってみて(6)もち問答・おせち問答

 Nさんは「昭和の男」だ。季節の行事や性的分業を大切にする。夕食の時、2人でテレビを観ながらニュースに注文をつけ始める。「実家感」があって嫌いではない。「女性だけが子育てをする時代じゃないとか言うけどね、おれは違うと思うね。お母さんが子どもを育てる、それは、当たり前!」ここの読点1つに5秒くらい「タメ」がある。そういう自分は四肢麻痺で、かつての男性の役割を1mmも果たしていない。その代わりに若い介助者たちへ「啓蒙活動」に励んでいる。

 年末は「もち問答」が恒例行事である。「もちによる窒息に注意を」Nさん「危ないから小さくしろだ、柔らかくしろだ、そんなのダメだね。食った気にならねえよ」危険を承知で危ない橋を渡るのが男。一方で、自分が入った現場の中で1番というくらい介助者に優しい。「実家が太い」人でもあるので床暖房が付いている。甘いしユルいし、待機は快適。「男の甲斐性」「身内への散財は美徳」の恩恵を介助者はたっぷり受けている。なんだかんだで愛されている。

 いつもは聞き流していたけどそうもいかない。「ちょっと待った。もちの話は今日は止めましょう」手で制止するジェスチャー付き。「先週、叔父さんがもちを詰まらせて死んでるんで」。謝罪っぽいことは最後までなかったけど、「えー?!うーん・・先週・・リアルすぎるー」かなり取り乱していた。自身の信条と、個々の関係は別物のようだ。信条は曲げられない。けどそのままにできないので、次回裕福な実家の伝統「うにバターもち」を振る舞ってくれることになった。

 ツイッターで話題になっていた「Z世代」との、親子おせち問答。「新しい世代は価値観がアップデートされてる」という意見もあれば、「昔の人の願いを理解してほしい」という子への苦言も出ていた。書いた父親は、プチ炎上に驚いて「実際はもっと深いやり取りがあったが自分が切り取ってしまった」と謝罪のツイートをしている。

父「エビは腰が曲がるまで、数の子は子沢山、伊達巻きは知恵がつくように…」

子「長生きしろ、子ども産め、賢くなれ…それってもう呪いだよね」

父「いや、呪いというか願いが…」

子「決めつけはよくないと思う。価値観は人それぞれだよ」

 

これがZ世代…

 父親の狙いどおり脊椎反射的に反論したくなった。老人だけ、女性だけ、学齢期の子どもだけに食べさせたら印象は悪い。でも関係なく食べる。その時代では、現状維持では苦しいから、自分と身内の生活が少しでも向上するように、という願いだのにね。

 冷静になると「そうか時代が違うのか」。今なら何だろう。エビは「老後の安心」老後資金が貯まりますように。数の子は年金と同じだろう。最近では加えて「孤独死しない」支え合う友人がいて、見守りITサポートが充実しますように。伊達巻は、振り込め詐欺に遭わないよう使いやすい権利擁護制度ができますように。