日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

(58) あらばしり6 分断、が気になる

自立生活の現場はコロナに強い気がする。クラスターが起きたとは聞かない。東京といえば日本一汚染された地域で、この実感であれば、自立生活は感染症に強いかもしれない。

・・というのはウソです。なんとかバイアスだ。目立たないだけで発生しているかもしれないし、明日起きるかもしれない。統計も算数も苦手分野だけど、コロナ先生の体験学習のおかげで「何が確かで何が疑わしいのか」少しは考えるようになった。

有識者」の見通しが外れる。予想がつかない。ウイルス自体は科学の対象なので、だんだん対策の精度が上がる。でも、そのまま対策できない。経済も自由も大事。必ずブレーキがかかる。世代間の対立もあおる。八方ふさがりとまではなくても、身動きがとれない。

好成績ワクチンが完成したと聞いて正直気がゆるんだ。ちょうど第3波が、1・2波でアップを終えたかのように爆上げし始めた。ワクチンで浮かれたのは自分だけでは無さそうだ。

気分が暗くなる前に思い出そう。いい方にも予想外だった。インフルエンザとの「ダブルパンデミック」は拍子抜けした。インフルは根絶やしにされかかっている。文化的にも「冬の風物詩」が1つ消えてしまった。高齢者施設では「発熱、嘔吐」など日常の体調不良が激減したという。家族が面会のときに菌やウイルスを持ち込んでいた。パンデミックでそれが見えてきた。

同じく、自立生活の新たな「おすすめポイント」が証明される日も近い。「自粛」には、ほぼ「強制された」自粛、と自分で「選んだ」自粛とがある。矛盾しているように感じていたけど慣れてしまった。受動態なのか能動態なのか、というのが流行っていなかったっけ(『中動態の世界』)。「自ら自粛する」ことの方が実は珍しかったのかもしれない。これもコロナ先生の国語だな。

書きたかったのは、「分断」が気になる。今日は米国大統領の就任日だ。トランプ氏が煽って社会が分断されているという。格差が広がる中で「マグマのようにたまった怒り」がトランプ氏の言葉であふれだした。SNSは主張を増幅するだけで「議論」にならないので溝が深まり「分断」に至る。

・・本当にそうかな、と思う。順番は逆で、複雑な状況を「分断」とかいう雑な言葉でまとめるから対話が成り立たなくなる。ある言語では、色が白と黒しかないと聞いた。「分断」は、階調が荒い大昔のモノクロコピー機、という変な例え。カラーで見えているのにモノクロコピーして「白と黒しか無い!」と頭を抱える。

元の用法は「路線が分断された」と使う。もう通れない。実際は、数%の過激な人たちが「分断」していて険悪でも、大多数はどっちつかず。問題提起のための、ちょっと雑でキャッチーな言葉と、状況を説明する面白みのない言葉、があると思っていた。

今は違うことを考える。過去の、新聞と手紙とラジオの時代の言葉だと思う。技術が変わって情報が加速・増幅される今は言葉も変わる必要があると思う。一人ひとりの中でも、すごいスピードで押し寄せる情報に即反応を迫られる環境だと、極端な方に行きやすい。増幅✕増幅だ。

望遠レンズで「密な写真」を捏造する「圧縮マン」が参考になる。そんな誇張は要らなくてスマホのカメラでいい。