日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

(53) 沖縄日記(10) ユーチューブ現代史

これまでのあらすじ。10回続いたので振り返ってみる。沖縄には15年近く毎年通い、友人もいて好きな土地だ。7,8年前に、身近な人(A氏とする)から「反基地運動」を否定する意見を聞いた。尊敬していた人で、「この人がそれ言うの」と動揺した。それまで、運動に共感する人は「善」、批判する人は、個人より「国益」を優先するので「悪」と単純に考えていた。

「民主主義の日本において」と前置きすれば的外れでもない。でも、人として尊敬するA氏を当てはめられない。それで悩むのを書いていた。最近になって連載にも出てきたB氏が登場して、さらに盛り上がって来た(個人的に)。2人とも社会的地位が高く、性質は穏やかで理性的、福祉医療教育分野に従事して「人権意識」は強い。B氏の方が「振れ幅」が大きくて正直、引いた。でもA氏で耐性が付いていたので興味が湧いた。

そしてB氏は「話が続けられる」理性の人だ。主張が合わなくても話を止めない。「そんな理性的な人でも、変な主張をするのか」ではなくて「B氏でさえそうだから、自分も含めて多くの人は間違えたり偏った考えをしている」と思うようになった。とくに沖縄のように難しい問題では「対話」が大事だと気づかされた。

両氏の共通の情報源はyoutubeだ。A氏は定年で時間があり「嫌中韓本」も取り入れている。B氏は忙しいのでyoutubeメインのようだ。youtubeかよ(笑)と僕には言えない。コロナで情報の供給過多でデフレを起こしている。良質で、本来有料のものが大量にある。足は遅いけどランニングが趣味で、youtubeのレクチャー動画を見ている。面白くて練習もしなくなって、youtubeを見るだけランナーになっている。

女の子がアップで「もやしを食べるだけ」の動画、とかも見るようになってしまった。若くて十代でも、ストーカーと「アンチ」の攻撃にさらされながら、見事に受け流す技術がある。こういう人たちが次の社会の標準になるのか。最近は、在日の外国人の動画にはまっている。「炎上」しないよう、多くは当たり障りないか「日本賛美」の内容だけど、技術のあるインフルエンサーは「個人の意見だけど」など丁寧に前置きして、突っ込んだ政治的なことも話す。

「当事者」が編集されず自分の言葉で話すのは面白い。記者や編集者が、取材対象を選んで取材すると、やはり変わってしまう。例えば、在日中国人が歴史教育について「中国では在日として、日本では中国人として意見を求められるのが苦痛。関心を持たないことが処世術だった」と話す。「脱北者」が、飢餓や残酷な公開処刑について政権を非難する中での「市民は貧しいが皆笑って暮らしていた」というエピソードが印象に残る。その彼は立場上、完全に自由な発言はできないと思うけど、程度は違えど誰もがそうなので、見る側にリテラシーは要ると思う。

B氏が心配していたのは、反基地運動に浸透する「チュチェ思想研究会」と、彼らが進める国連での「沖縄先住民勧告」だ。極左の生き残りで、人権と反差別という「羊の皮」をかぶった「反帝国主義」だという。元帝国で「現役」米帝の傀儡国ジャパンの破壊が目的だ。主にyoutubeの保守チャンネルで(のみ?)盛り上がっている。

不安にかられた陰謀論に見えたが、B氏の口から出ると重みがちがう。4割の自民党「岩盤」支持者はB氏と重なると思う。トンデモ陰謀論だったとしても、たやすく社会の過半数の世論になりえる。youtubeはあなどれない。