日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

(45) 「支援のてまえで」リレー投稿 こんな本をつくりたい

できたての本が届くと、すぐ包みなおして実家に送ったという。横田さん、はしゃいじゃって。私は誰にも知らせてない。出版社の案内を見た友人が連絡をくれた。「書いたのは少しだし、オマケみたいなものだから」と興味なさげに答えた。

実際は、暇さえあれば自分のパートを眺めている。書いたことが本になるってすごいことだ。そして、そんな陰湿さのない横田さんが愛されるわけだ。本づくりを近くで見れた。本棚に何冊もある、業界で知らぬ人のいない生活書院さんが、数人の家族経営だったと知った。どこかにヘリポートが載った「生活書院ビル」があると思っていた。

「校正」に時間がかかる。編集する高橋さんは5回10回と、おそらく著者以上に読み込むわけだから大変だ。でも、それが終われば印刷はあっという間だった。自分の担当したコラムは、おもに初期の「たこの木通信」を拾い読みするものになった。世に出ることもない、書いた人も忘れているような昔の文章がとてもおもしろかった。きっと、今の岩橋さんに聞いても同じものは出てこないだろう。横田さんも脱力系「ではない」読ませるものを書いていた時期もあった(失礼)。

現場の連絡ノートも、今の悩める介助者の救いになりそうな言葉がたくさんあった。もったいないと思う。でも人に勧められない。量は膨大で、自分も必要に迫られなければ読み返すことはないだろう。過去の「宝探し」より、生活書院の新刊を買ったほうがいい。AIで読み込んで「たこの木bot」のようにランダムに送ってくれれば楽しそうだ。もうすぐ第二弾の「DVD版たこの木通信」が出るそうなので、ぜひ宝探しやってみてください。

編著者の児玉さんは本づくりが趣味で、巻末の岩橋さんの「講演録」は以前に自費出版したもの。「何か作ってみたら」と声をかけてくれる。せっかくなので「構想」を書いてみる。興味ある方がいたらいっしょにやりませんか。

ピープルファーストの支援者をインタビューした本が作りたい。何より自分が読みたい。常々「支援者」という言葉がうさんくさかった。介護とか援助、世話をする、見守る、ではなく「支援」だという。ケアに付きものの支配や管理、依存などの負の関係を隠してしまう。対等な関係で、必要なときに必要なだけ支えて後ろに控える。そんな訳がない。

そしてピープルの支援者ほど、矛盾に満ちて、うさんくさいものはない。本当に本人の意思なのか。誘導してるだろう。会議などに出入りしてメンバーと支援者の主な人たちはよく知っている。うさんくささも含めて個性的で魅力的な人たちだ。何人かの支援者には「本にしたいので話を聞きたい」と声をかけ始めている。

言いたいことが幾らでもある人たちなので、話を聞けるか、という心配はない。でも、クセの強い彼らから突っ込んだ話を聞きだす自信がない。自分語りで「私の履歴書」ができあがっては趣旨とちがう。知的の当事者運動に懐疑的な声も聞く。「操られている」だとか。この本が「支援が歪めているもの」を正確に表すことができれば「ノイズキャンセリング」のように、「歪み・操作・誘導」成分を除去して、本来の運動がクリアに見える、というのを狙っている。