日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

(39) 沖縄日記(3)

前回、本の題名が違っていた。正しくは『「普天間」交渉秘録』だった。歴史に触れるなら出典が大事だとわかっている。でも、チェックするのは大変で、何より底が浅いのがバレる。ということもあるので、いざとなったら逃げやすいから「日記」とゆるい感じにしてます。

3月の平和学習会。アピールタイムにジュゴンの被り物をした女性3人がステージに上がった。「ジュゴンを殺すな。サンゴを守れ」とコールする元気なおばさんたち。

「なんでジュゴンなの?」と思わないだろうか。もっと「基地負担の軽減」とか「地元の民意」といった主張のほうが理解される気もする。辺野古の抗議カヌー隊は、海上保安庁の船に囲まれながら何度もオイルフェンスを乗り越える。高江のヘリポート建設現場では、引き剥がされるまで木の幹にしがみついていた(映画『高江-森が泣いている』)。

過激に見える行動をとったり、また逆に「ジュゴンが泣いている」といった感傷的なお話が用意される。使える手は全て使って、という執念は伝わるけれど、 「ついていけない」と感じることもある。もっと若い子が被り物していたら、、とか思っては駄目だな。

そう自分が感じたことは、差別される側への「多数派」としての自分の立場が現れているような気がする。障害でも在日の人でも、差別される側の訴えに対して「丁寧に分かるように説明するなら聞いてやる」という態度をとる人が現れる。多数派に合わせて作られた社会や制度には、通常の方法で改善したり異議申し立てするルートがない。

鳩山元首相は「最低でも県外」と発言して失脚した。そのころは政治に興味はあまりなかったけど、すごい勢いで引きずり下ろされていた印象がある。矢部宏治さんの『日本はなぜ戦争ができる国になったか』という本が、在日米軍に関する「密約」について難しい内容を分かりやすく書いていて面白い。「私はこの問題(日米合同委員会などの、軍事上の密約を生み出す法的構造)について、ぜんぜん知りませんでした」そう鳩山さんが著者に話したそうだ。

鳩山さん大丈夫か?と思わないでもないけど、個人の資質というだけでなく、政治の中枢に関わり続けた政治のエリート鳩山家でさえ知らされてない。密約とはざっくり言えば「条約・法律の外見は議会向けに見栄えをよくするが、占領時の米軍の特権は維持する」というもの。詳しくは関連書籍を当たって下さい。

「米国は必要なだけの基地を日本のどこにでも配備できる」これは日米安保にもフワッと書かれているが、密約や「行政協定」で補強されている。鳩山さんはこの「地雷」を踏んだ。軍とそれに従う日本(官僚?)は総理大臣も知らない「法」に則って「粛々と」基地を作る。正攻法ではなすすべは無い。

実力行使やトリッキーと見える方法をとる。「オール沖縄」にこだわるのは障害者運動に似ていると思った。細かい意見は違えど「一枚岩」だと見せないと「主張」として扱われない。あと、ジュゴンは権力に対して「よく効く」ことが分かっている。実績のある武器なのだった。

当時の小泉首相の言葉が、先の「交渉秘録」に載っている。「環境派と戦っては駄目だ。それほど住民運動は怖いんだよ。執念深い」小泉さんは、かつて逗子の池子弾薬庫の返還問題で反対住民の対応をした。それでずいぶん懲りたようだ。