日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

(21) あと2ヶ月で40歳​(1)​ ​ クレイマーズ・ハイ

「荒木さんスマホを教えて!」

久しぶりに大家さんに会った。人に飲み食いさせるのが好きでよく連れ回してもらった。ここ半年は体調が悪いのか、出て来ないし早く寝てしまう。

もう1つの楽しみは「クレーム電話」だ。ネット回線をソ◯ットに乗り換えたら固定電話が通じなくなった。苦情を入れようとしたら、これまた乗り換えたばかりのU◯モバイルの機種に慣れてない。やり方を教えて通じたら、溜めてた分勢いがすごい。

「私は◯◯ですが・・、まずねえ、人の名前を聞くなら先に名乗りなさい。失礼だよ!」

いつもの返しで主導権を握り(担当の)ヤスカワ(仮名)さん、あなたね、ヤスカワさんおかしいよ、と連呼しつつ攻め込む。

なんだ大屋さん元気じゃん。賠償を求めそうな訴えそうな雰囲気を漂わせつつ、全くそんな気はないのは分かる。いい暇つぶしで「元気の素」の介護予防クレーマーなんである。大きめの家で、高齢一人暮らしには、営業・勧誘が集まってくる。実はエサに寄せられて釣られてるのはあなた達なのにな、と2階から眺めてる。

アラフォーシングルの今が面白い。それなりに焦り、寂しさもあり、出世はなく、将来不安は重く、貯金と節電が密かな趣味だ。でも30代半ばで、それらの負の感情は通り過ぎて、今は穏やか。負の感情もなければ、本や音楽で心揺さぶられることもない。心が死んでるとか、老化で脳にスが入ってるにちがいない。と、思っていたけど少しちがう。

近所は子育て世代が多く、夜勤の帰りは府中刑務所沿いの、何百人という通学児童の多動を予測しつつすり抜ける。アラフォーの時期は生き物として家族とか子育てとか人の世話を焼く時期なんだろう。ずいぶん遅いけど、きっと自分の本能の部分は延長戦に賭けたけど諦めた。まわりの刺激を受けて自分を作り上げる時期は終わった。若い頃のような成長はもうない。

でも生き物としてのリズムは今でも狂ってきてるし、この先は、朝すれ違う子ども達が100歳以上生きる未知の世界になる(本「ライフ・シフト」より)。リズムに乗り遅れたせいで波風のない所にいる。凪の海のように進まないけど、手漕ぎでも初めて自由にコントロールしてる感がある。大屋さんは一人暮し。部屋の乱れ方や融通の効かなさ、自分と似ている。なら自分の70歳はどうなってる。

30年前の景気のいい頃にばりばり仕事していた大屋さんは、クレーマーとして営業さんを「教育指導」することで満たされ、もっと上の、今要介護と言われる方達は、個室よりも人の気配があって手仕事でもあれば安らぐのかもしれない。ぼくらの世代はきっと別物の満足と安らぎがある。

介助者仲間の役に立てたら、と思って通信を書き始めたけど方向が違ってきたし、役に立てそうもない。介助者には同世代が多い。支援費制度が始まった頃に新卒で入った人はもうすぐ40。多くは家庭があって充実してて眩しいかぎりだ。でも仲間もいるはず。40になる前後数ヵ月、カゲの薄暗いところでジタバタしてる様をお伝えしようと思う。