日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

(17) 無謀にも「人権」を考える(7)ゆうとおんの皆さんと

「ゆうとおん」の皆さん、1泊で2回の会議と2回の打ち上げの過密スケジュールでした。本当にお疲れさまでした。感じたことを少し書きます。

被害者がおられますし知識も乏しく、的外れなことを書かかないか気がかりです。畑さんは「面会でYさんから反省の言葉が出るのを、つい期待してしまう」と話されました。それが難しいと分かっていても。また「(現実的な当事者に対して)支援者の方が、そうした『ファンタジー』を信じている」との言葉もありました(これは横田さんからの又聞きで不正確かもしれません)。

畑さんの飾らない人間味が垣間見え、さらには、淡々としたYさんの態度が更生支援や矯正処遇のあり方を問いかけているように感じました。被害に遭われた方や家族に対しては「反省・謝罪・生き方を悔い改める」という心の動きがあるべきだと思います。しかし、支援者の立場では、刑を終えた上で結果的に再犯がなく穏やかに暮らしていることが重要で、反省は必要な条件ではないかもしれません。人を傷つける犯罪と同じではありませんが、薬物依存による犯罪では再犯防止のための教育的処遇が進められていると聞きます。謝罪や反省に再犯防止の効果が少ないことはよく知られています。

多摩のTさんと関わってから更生支援の本を借りることがあります。難しいものは理解が進まず、読みやすい新書などに偏っています。『反省させると犯罪者になります』やや扇情的なタイトルで有名な岡本茂樹さんの本に共感するところが多かった。

行動障がいのある方の支援に入ると言葉&態度と行動が一致しないことが多々あります。聞いてもいないのに毎日のように謝って反省してるよと言いつつまた爆発して、しかもいよいよ危ない時にこそ不自然な笑顔がこぼれていたり。罪を犯すことと行動障がいを同列に扱えませんが、健常者にもありえる心の動きと捉えれば、障がいの理解につながるのではとも考えます。大きな犯罪をした人は幼少期などに問題があり、それを解消せず上辺の反省をさせても再犯に至るというのが岡本さんの主張です。

反省の表現が乏しいYさんTさんは、見える形で現状の矯正処遇のあり方に何かを訴えているようです。もう1つ腑に落ちたのが後書きの「自分が被害者の家族なら犯人を殺したいと思う。ずるいと思われても被害者と支援者の立場をいっしょに論じられない」。Tさんのような重い罪を犯した人と関わることに抵抗はあります。無理に消化しなくても複数の立場・価値観を同居させていいことはとても救いになります。