日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

(5) シセツ職員もつらいよ(5)お金の話

鶴田さんが紹介された本『介助者は、どう生きていくのか』は転職の時にとても参考になった。

初めて「介助者」を見たのは障がい者集会の懇親会だった。車イスのななめ後ろで控えて、指示があればさっと動く。私は、ボランティアで食事介助や「通訳」はしても、他の時間は自由に周りと話していた。賑やかな会の中にいて、黙って近づけない雰囲気を醸す「介助者」を、少し気の毒に思った。

本の中で特に、責任の重いコーディネーターの言葉が、いろんな意味で「ブラック」だった。今後が不安になると同時に、胸の内を明かせるコミュニティがある事がうらやましい。かつてボランティアに近かった介助者は労働者と認められず、施設職員だけが労働者として保護された。さらに障害者の生活の改善を訴えると職員の労働強化につながるとして反発を受けた。

「介助者が労働問題について声を上げるようになれば、障害者の生活が制限されるおそれが多分にある。p.325」社会的に地位が低く、改善の声も上げにくいとなれば、アラフォーにしてかなり悲惨な状況になる。現在、同年代の介助者は、子どももいて「ちゃんと」社会性豊かな生活をしている人が多い。「収入も少ないだろうし(自分のように)独身でふらふらしてる人も多いのでは」という予想は裏切られた。月収が施設の時を超える時もあるがボーナスなどを含めると施設の保障はやはり手厚い。

こんなデータもあって、狭い業界では強者である(増減差額≒利益)。ただ、大都市だからかも知れないが思ったより安定している。事業所の差が大きいようで、仮眠時間が無給で訴えられる話も聞けば、雇用保険が無いのにあまり気にせず常勤で働く人にも出会った。

守られていた施設職員はどうなったか。現在の介護も含めた入所施設の非正規職員比率は3割。対して訪問型は7割。前の職場では、働き始めたころは30人ほどの現場職員のうち3割だったのが10年経つと契約社員も含めて約6割になっている。2006年から旧法「入所更生施設」→「施設入所+生活介護」に切り替わった時期と重なる。利用者の生活に変化は少ないものの、日中・生活で制度が分かれ加算も複雑になり「経営目線」が強まる。

区分平均が5以上でないと施設入所支援は赤字ギリギリになると聞いた。法人によって「夜勤は非常勤が基本」という所もあれば「質を保つために正職員を維持する」と頑張る所もあり、模索していた。そのうち看護師も非常勤になった。たまたま就職希望者がそう希望したのと「必要な医療は地域の病院で受けるべき」という脱施設の理念も名目に使って「非正規化」が粛々と進んだように覚えている。「うまくやったなあ」と感心していた。