日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

(4) シセツ職員もつらいよ(4)開かれた?施設

知的障害のある人と個人契約でヘルパーをしていた知人が、ちょっとしたトラブルから成年後見人の判断でクビになった。本人とは家族ぐるみの付き合いがあったのに、話し合いもなく処分だけ電話で伝えられた。

寂しい話ではあるけど、家族でない、契約と財産管理のために付けられた後見人にしてみれば、「面倒な」人間関係よりも、顔は見えないが便利で継続性のあるサービスを選ぶのも無理はない気もする。一昨年まで住んだ町を訪ねて、そんな話を聞いてきた。

昔の同僚にも会った。元職場では「改革」が加速していた。下請け内職ではなく「ディーセント・ワーク(正当な収入のある魅力ある仕事)」を!地域貢献・地域再生の拠点に!前からそんな事を言って農業に力を入れていた。今は入所での下請けを全部止めて重度の人も田んぼや畑に出る。付加価値の高い、「奇跡のリンゴ」の自然栽培で。農地を増やし養豚も始めたとか。利用者が戻る夕方頃は「いい匂い」がするという。この勢いで、まだ働いていたころの取り組みの初期に「夢」として語られてた「ワイン造り」もやってしまいそうだ。

入所に限らず、生活と日中の事業を持つ法人は「閉じた」世界になりやすい。ただ福祉全般に「外から見えにくい」性質があり、規模のある法人という「大きなかたまり」が目立つこともあると思う。「丸がかえ」と言われる管理的・閉鎖的な傾向はありつつ、静かに止まっているのではなく、中は結構な熱量で人や物がうごめいている。

熱量は資金力も含む。時代のニーズ(流行りとも言う)を読んで次々に事業を変えるのを見て、あるNPOの代表の人が「自分の所ではそんな投資は考えられない。社福法人は資金力が違うね」と皮肉まじりに話していた。福祉行政も、その体力を頼みにするので行政との繋がりができ「公的」な意識が強いと思う。利用者と地域の人という「個人の関係」が薄い代わりに、行政や業界団体・支援者団体との連携は強い。

福祉の業界団体、なんとか福祉協会が発信する先駆的な取り組みや新しい時代の理念に乗り遅れないよう、上の人たちは必死でした。古いものから思い出すだけでも、自閉症療育、「全員作業(最重度の人にも役割を)」、職住分離、個室化、通所・ガイヘル・GH事業、キノコ栽培、パン、喫茶、「アートを仕事に」、「デザインで工賃アップ」・・そして六次産業で地域活性化。今世紀の知的分野の話題を網羅してる。

もっとずっと前の入所単独の時代、狭い敷地を区分けし無理やり「職住分離」とした。さらに大部屋を区切って個室化して「職場」のスペースが無くなって、じゃあ通所部門を間借り・交流して、、と苦心していた。他所でも、多かれ少なかれ何かが中でうごめいているはず。

これで職場への「義理立て」が済んだとさせて頂き、次回から少し突っ込んだことも書きたい。

先進的な取り組みといえば、アート活動と芸能人が始めたことで有名な静岡の施設が親戚の近所だった。売店の青年が自分と同じ入社1年目で、僕は家族経営施設、彼はカリスマ経営の元で働く理不尽と悲哀について語り合った。先進とか改革とか聞くと、まず現場の職員が心配になる(次に利用者かな・・私はその程度の人間です)。閉じた施設というのはなくて、違う方向に、市役所や美術館に向けて開いている。