日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

(3) シセツ職員もつらいよ(3)いやいやSさん、これからですよ!(と、言いたいけど)

「荒木さんSはよこはま大会がさいこにしようとおもっています」

Sさんは、小さい頃から病院と施設で暮らしてきた。10年前に知り合って旅行や外出のボランティアをしている。メールは、ピープルファースト大会の介助依頼だった。「最後にする」の理由は、暇で使いやすい私が引っ越し、相談にのっていたバイト青年が正職員になり「頼みづらくなった」ことなど。

自由のない施設と思うかも知れないが、風通しはいい施設だと思う。食事中でも夜中でもフラッと立ち寄って直接部屋まで行っても誰も気にしない(邪魔だとは思っていたかもしれないけど)。前は年1回、自由に計画して1対1での宿泊旅行に行くという「頑張っている」施設だった。

四肢マヒと言語障害がある。でもPCと電動車イスを使う。重い障害のある人が集まった施設では「できる人」扱い。自分でボラを見つけ管理するよう求められる。とはいえ小さな行為1つが大変な労力だ。去年の神戸旅は、ほぼ1人で頑張っていた。やっぱり「綱渡り状態」の旅で心が折れたのかもしれない。

「Sさんは利用者じゃなくて友達だから」と自分のプライベートを提供した青年は「この仕事で頑張ろう」と施設の正職員になったのに、以前のように付き合えなくなった。

「ニーズに応え、本人の力を引き出す」これを少ない人員でやるには、より重い人にも公平に、Sさんのような「できる人」は信頼して任せる。結果、職員も利用者も、ガマンする場面が多くなる。相談や対人援助の専門技術を極めれば、施設でも「公平かつ個別(?)」の支援ができる、のだろうか?

本を開けば、理想を語り「ご立派な」事例が並んでいる。微かな希望をいだいて頑張る。私も初めはそうでしたが難しく、早々に諦めていた。そのうち「あの人の対応は施設っぽい」と法人内で指さされる、立派なシセツ職員になっていく。

「入所では1対1で外出できるの?」岩橋さんに聞かれ「1対1は1時間いくらの有償、複数なら通常の利用料内のサービス」という職場のルールを思い出した。施設入所でガイヘル可の地域もあるようだが、私の所は使えず独自のルールや手順があった。ガイヘルには「何ができて何ができない」という細かなガイドラインがある。施設入所サービスはどうなのか、気になって厚労省のサイトを調べた。先進的でもない普通の法人にとって、法律にどう書かれるかが基礎となると思う。

まず総合支援法では「3大介護、その他の省令で定める便宜を提供」とあり、その「便宜」の中に外出など地域生活の支援が含まれると予想したが・・。省令の3つ「社会生活上の便宜」では、行政手続の代行、家族交流の確保ときて、関係がありそうなのは「レク行事を行う努力義務」ですが・・レク行事は社会生活なのか。

GHでは3大介護に加え「相談、その他の日常生活上の援助」を行い、省令の「便宜」では「行事」が無く「余暇活動の支援等」となっており、支援法の「・・及び社会生活を総合的に・・」という正式名称に沿っている。入所は時が止まっているようだ。世の中からとり残されたような現場で「社会生活」を創りだそう、と頑張る職員もいるのでお忘れなく。

興味深いのが旧法・入所更正の設置基準にある「レク行事」が努力でなく義務だった。古参職員が「昔は旅行費が措置費で出た」と懐かしむ「施設あるある」の裏事情だろうか。