日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

(1) シセツ職員もつらいよ(1) 石田さんの叫び(でも誰も聞いてない・・

今日は泊まり介助の日。通所施設に利用者さんを迎えにきました。前の道に歩道がないこともあり出入り口は厳しく管理されています。迎えが来ると扉の外の職員がPHSで中に伝えます。外に出るには数字を覚えてボタンを押す必要があります。

女性職員が扉を開けたら、後ろから男性が走ってきました。大声を上げながら、止めるのを振りきって飛び出しました。すぐに建物から職員が3人出てきて追いかけ、男性を囲むようにして戻ってきました。

ここは知的障害者の入所施設に併設したデイです。独特の雰囲気があって緊張しますね。とはいえ、私も最近まで「扉の向こう側」にいました。別の入所施設で約10年働きました。動作はトロい方ですが、先ほどの職員たちのように「トラブル時のダッシュ力」は鍛えられましたね。自立生活の支援をやってみたかったのと、アラフォーの迷いもあり、愛知県から自立生活の「聖地」だと思う多摩地域へ引っ越してきました。

今年の年越しは、利用者と介助者で秩父旅行でした。部屋に集まって年越しを待っていると、となりで横になっていた石田さんが語り始めました。「すえながー!(通信でおなじみの末永さん)入所施設ぶっつぶそう!みんな地域へ出そう!」

いよいよ年越しが迫ると熱が入ってきて「ぼくがシセツから出すから、介助者の待遇改善をして受け入れ体制を作ってくれ!」とても印象深い時間でした。「ゆく年くる年」の映像と除夜の鐘の音をバックにして投げかけられる、刺激的な言葉はもちろん、周りを囲んでいた介助者たちが「また始まった」という感じで聞き流しているのもシュールでした。

石田さんが作ったグッドライフは、その「叫び」がそのまま形になったような実践をしています。障害種別を問わず多くの自立生活を支え、職員の仕事の満足度は高そうです。「シセツは良くない、シセツから出そう。」でも、最近の介助者にとっては、イメージがしにくくなっている気がします。「ノーマライゼーションの歴史」に登場する白黒の巨大施設をイメージする人がいるかもしれません(写真:カナダ・オンタリオ州のサイトから)。

問題意識としては有りかもしれませんが「石田さんが施設に呼びかけに行って本人が望めば出られる」という、いい意味での「交流」がしにくくなる恐れもあります。「今どきのシセツってどんな感じなのか」現場の目線で書いてみたいと思います。「扉の向こう側」との橋渡しになれればいいなと思っています。