日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

ローザス


あいちトリエンナーレに「ローザス」というダンスを観に行った。

ダンスとか「パフォーミングアート」のジャンルはほぼ前売りが売り切れている。トリエンナーレのサイトに「当日券20枚を開演1時間前に発売します」とあった。平日の今日の目玉はこれくらいだ。せっかくだから行こうかな。料金5,000円というのを見つけると止めようかと思う。行ってから考えよう。

栄オアシスには草間さんの作品が池をただよっている。ちょうど池の掃除の日だった。業者の人は、ミラーの溝にたまった藻をブラシでこすっていた。手間が増えた感じだった。

市美術館には巨大なオブジェ作品が多かった。職場のゴミ係を少しやってたので、気になってくると楽しめない。「会期が終わったらゴミだよな。産廃だよな。費用いくらするんだろう」

県美術館には旬の作家が集められてて、理屈を知らなくても楽しめる。
最初のでかい絵に草間さんの花、水上バイクに火薬の絵に「本の模写」?したやつに箱庭みたいなアニメに「ぬいぐるみ」にペガサスと白熊に豆の戦闘機に黒くてブラックな写真、どれもインパクトが強くて忘れられない。面白くないのも含めてぜんぶ覚えてる。力のある人はストイックにアートやってても、パワーがあふれて、誰にでもPOPな感じが出てくるのかもしれない。

ちょうどガイドが出発するところだったので付いていった。「どう感じましたか?」はぁ?いちいち質問するのでやっかいだったけど、水上バイクは説明がないと辛かっただろうな。にやにやしながら「次は女性のみなさんがきっと好きな、ぬいぐるみです。期待してくださいね」ガイドさんにやられた。確かにぬいぐるみだけど。これは牛革まるまる使ってて、リサイクルできる。安心して楽しめる。

長者町会場は古い繊維問屋の町をまるまる会場にしている。

大阪にも繊維問屋の通りがあった。田舎から出てきて自分は受け入れられてない感じがしていた。田舎では、自分の立つ町並みの向こう側は「山か田んぼかビニールハウス」だった。高架の阪急電車からは、町並みの先にも町があり、その先のかすんだような遠さにもビルや工場が見える。何があるのか、どんな人がいるのか、気になってしょうがなかった。気になるので見ないようにした。情報量が増えすぎたんだと思う。

歩きまわったり物を買ったりして都会になじんできても、問屋街は最初から自分を受け入れそうになかった。学校には所属してたけどニートに限りなく近い自分には、仕事の町、業者相手の町は、そばに行けるのに入ることはできない難しい場所だった。

古い倉庫が会場になっている。外からはボロい建物だけど、倉庫だから骨組みはコンクリートでしっかりしている。一二階の天井が低いのは布製品の倉庫だったから。棚は高くなく深すぎず、人間の体で荷物を詰め込むための最適な形になっている。吹き抜けがあるのは、服とか布とか糸の束などの商品を積み下ろすため。フォークリフトなら天井高い広い部屋にする。人が軽い物を扱うには「積み下ろす」より、吹き抜けから「投げ上げ、投げ落とす」ほうが効率いい。

狭い屋上から通りを見下ろす。当時の自分に対して少し優越感だ。たいしたことはない。でも、引き付けられるものには、それなりのものがあった。引きこもりのしょうもない悩みは、間違いではなかった。

屋上の高すぎるフェンス。床に置かれた「H」のネオン。再生にかけるこの町はHeavenなのかHellなのか(またはヘリポート)、というメッセージらしい。高すぎるフェンスは、従業員みなで住んだという上の階から丁稚小僧が逃げないためなのか。

トリエンナーレは大成功だったみたい。それは「美術館から出した」のが良かった(直島の受け売り・・)。美術館にはラフな格好の若い人が押しかけて「まちなか化」してて、それが楽しい。これを機にハコ無しでも収益の上げられる「館のない」美術館ができないかな。

中央広小路ビルの砂のオブジェ。この色と、触われないけど「触感」で脳内物質が出まくったみたいだ。見ていて飽きないというか目を逸せない。何年か前に、上野の美術館のシンプルな台形の彫刻でも動けなくなった。マコンデは・・ちがったかな。頭が疲れてきて見られなくなったので外に出る。画像ソフトの「自動修正」でおかしくなってますが、どうやっても実物の「魔」な感じにならないので直さない。

ローザス」少し遅れたら当日券は売り切れてキャンセル待ちになっていた。観るかどうかは人に決めてもらおう。とてもワクワクした。ふつうにチケットを買うより楽しみだ。

後から聞いたら、この演劇は途中入場不可らしい。かなり苦情が来たのか、次の日にはサイトのトップに「遅れたら入れないから時間通り来てね」的なことを書いてあった。おかげで9人目のキャンセル待ちでも余裕で入れた。内容は・・ミニマルな好きな感じの音楽だったし、小さなホールの間近で見られたし良かったけど、よく分からない。

タイトルにして書いていたら何か出てくると思ったけど、何も出ない。僕がアートを語るのは限界があった。