日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

吉岡一門

仙人と映画の人が「世直しの旅」ということでバンで西日本を回る旅に出た。後方支援の一番の仕事は、仙人の飼い猫のエサやりです。企画段階から何度も何度も頼まれた。連れていきたいが、旅先ではぐれる心配のほうが大きい。「ムサシが心配だから旅やめよう」と言い出したこともある。旅の成否がかかっている。

あさって仙人たちが戻るので、あと1日でお勤めが終わる。今日はいいことがあった。安心して日記に書ける。
約10日間ほぼ毎日山に通った。何日か同僚が手伝ってくれた。遠くはないけど、仕事のあとだと夜の山を登ることになる。雨の翌日は蚊が数十匹まとわりついてきた。数えたら30ヶ所刺されていた。毎日気が乗らなかった。

明るい時間に行くと、ムサシが「門」のところで待ってくれていた。たぶん帰らない仙人を待っていたんだと思う。道場で猫缶を開けようとしていると、近くにきて体をすりつけてくる。猫のくせにやたら人懐こい。真っ暗な夜に、山のなかでガサゴソやっていると、どこからか鳴き声が聞こえてくる。それはものすごく安心する。仙人が、なぜ孤独な山暮らしに耐えられるかわかった。猫がいるから。そして、人懐こいムサシには、飼い主の「ひねくれた人恋しさ」が転移してるような。

仙人が自分の食事を分け与えるので、舌が肥えて、基本的にキャットフードは好きじゃない。最初の頃は猫缶半分でドライフードに手をつけてないこともあった。

5日目くらいから姿を見なくなった。でも猫缶とドライフードは無くなっている。食べていれば大丈夫かな。

ドライフードの袋が入ったプラケースが開いて、中の袋が破られている。1日3、4食だったのが多めの1食になって空腹なのか。ムサシが凶暴化したのかな。しっかりとフタのフックをかける。

次の日。プラケースは倒され引きずられて中身が撒き散らされている。ドライフードの袋はズタズタで中身はほとんど無い。用意したエサは無い・・でも、ムサシが食ったのか?嫌な予感がする。

次の日も遅かった。20時ごろ山に行く。そろそろムサシに出てきてもらわないと、仙人が心配する。初めのころムサシが出てきたら携帯で写真を撮って映画の人に送っていたけど、それも出来ていない。道場に近づくと音がする。ガサガサと何か動かす音。得意の猫なで声がしないけどムサシだろうな。

入り口、というかスキマからのぞく。「おーい、ムサシー」ヘッドライトに反射するたくさんの目。4,5匹はいる。仙人が話していた「アナグマか、アライグマ」の襲撃だった。追い払おうと近づいても、ほとんど物怖じしない。竹を持ってきて、壁を叩いて音を出しても、数匹はじっとこっちを見ている。最終的に木に登って逃げたが、ライトを上に向けると2つの目が高いところで光っていた。まだ見張っている。怖い生き物だ。

アライグマ - Wikipedia

アライグマは違うでしょ、と思っていたけど、調べたら顔つきも近い。なにより「環境省指定特定外来生物及び日本生態学会指定日本の侵略的外来種ワースト100の指定種」の悪ぶりがよく出ていた。ムサシはアライグマ吉岡一門の返り討ちにあったのか。最悪の結果がよぎる。生きているのかムサシよ。

次の日は最悪に気が重かった。アライグマと大人げなく戦っていた。森の枝をかいくぐって追いかけ、長い竹でつついて追い払おうとした。今夜もそれをやるのか。野生の動物が群れで向かってきたらやられそうだ。マンガ「サバイバル」で、ネズミの大群に襲われる主人公の気持ちが分かる。山道の途中で、仙人が切ったと思われる、根元ちかくのずっしり重い竹を拾った。昨日の長い竹は、低木の森では動きを取られる。(忍者豆知識とかに書いてそうだ)この短さと、一撃必殺な感じが良い。仙人よ、留守の森は守りますぞ。

何も出てこなかった。プラケースは部屋から消えていた。懲りたわけではなさそうだ。猫もいない。

そして今日、誰が食べたか分からないけどカラになった皿を洗い、猫缶のパックを開けるところだった。ムサシが入ってきた。いつものようにすり寄ってくる。これで安心。サービスして猫缶3つ分あげてきた。ちゃんと写真を撮ろう。

早く食べたそうだけど、今日ばかりは動きまわる首根っこを掴んで顔をこっちに向け、証拠写真を撮った。