まんぞくした（夏休み２）

知り合いがデリバリーなんとかを使うのを介助することは時々あったけど、店に行くのは初めてだ。

「障がい者と性」とか深く考えているわけでもない。その前に自分の性についても誰か考えてほしいものだ。しごいてやったりすることはない。交渉して連れて行くだけ。それが食事や外出の介助よりスリリングで楽しい。

ここは風俗の聖地、岐阜は金津園。あまり調べないで来た。調べようがないし、ネガティブな情報ばかりだとやる気が出ない。案内所の言うままに店に入る。「自分で歩けないみたい」という案内所からのアバウトな話で、うっかり受けてしまった店長は最初から最後までパニクっていた。ちょっと気の毒だった。

狭い階段を２階まで担ぎ上げる。相手が怖がるので余裕を見せようとしゃべっていたけど、40kgあるのでだんだん息が切れる。何年か前に、エレベーターのないラブホテルで、２階の一番奥の部屋まで担いだことがある。似たような40kg台の体を50mは担いだ。限界が来て廊下の真ん中に下ろした。タオルをしいて。体力がもどるまで部屋の準備をして、迎えに行く。客のカップルが見かけたら面白いと思った。そんな気分じゃなくなるかも知れないし、受け止め方の違いで２人に溝が生まれるかもしれない。それは面白い。

梅雨の終わりにナメクジが大発生した。ちょっとエロスなイメージで

金山のラブホテルで、駐車場にエレベーターはあった。ラブホテルのエレベーターは２人以上のる必要はなく、狭くて苦情は来ない。車椅子が入っても体が引っかかる。今なら別々に運んだかもしれない。椅子をリクライニングしてもだめ、足を引っ込めてもだめ。約束の時間が迫っている。「足を上に上げたほうがすき間ができる」と言うのでやってみる。車椅子のおっさんの両足をつかんで、間に頭を入れて、高々と股を広げている。「やっぱりムリかな。困った」そこへ若いカップルが来た。女は「助けてあげないと」という素振りをしていた。男は「もう勘弁してくれ」という怒りの混じった表情で立ち去った。とても面白い。

関係者以外立ち入り禁止のドアが開いていて、中に業務用のエレベーターを見つけた。フロントの階だと思って降りると「事務所の中」に出た。いろいろ揉めたけど一応うまくいった。面白いけど、いつもこれだと継続できない。

最初から全部介助すると言えばよかったけど、業界の決まりがあって入られては困るところもあるかもしれない。女性が嫌がるかもしれないし、向こうも経験がないわけではないと思っていた。写真は選べることになったけど限定がついた。「あまり華奢な女の子だと動かしたりできない。安全面を考えても、体が大きいというかしっかりした女の子がいいと思う」それで２枚。横から覗きこむ。んー。たしかに強そうではある。

選んだら、また中でドタバタして、今度は「女の子が不安で出来ないと言っている」。それで風呂とかベッドとかの移動は介助することにする。狭い個室に入ると女性が待っていた。ああっ、しまった。介助やるんだし、もうストロング系の必要はなくなっていた。もう遅い。散財して、これから倹約生活を強いられる彼の顔を見られなかった。「こんなこと」になるなら、早く言い出せばよかった。『ちょっと待ってください！一度仕切りなおしましょう！』

後で「あれでよかったのか」とメールで聞いたら「気にするな。満足した」と返ってきた。店は頑張ってくれたほうだと思う。金津園に着いて、運転席のぼくに対しての客引きは激しい。真っ昼間なのに。車を降りて、電動車椅子になると、だれも目を合わせようとしない。意思疎通が困難で身体介助も要る障がい者と、この手の店は相性が良くない。そもそも、年に１回とか単発で利用するのは福祉施設でも嫌がる。お互い分からなくてストレスためるだけだ。

きれいなエロス

会員制で引き継ぎカルテを作ってくれたデリバリーの店がつぶれてしまった。今になってありがたみが分かる。福祉の心よりも、事務的な引継ぎのほうが自由が多い。

待ってる間なにしてるのか、いつも聞かれる。同じ部屋で体位交換でもやってるのか。いっしょにサービス受けてるのか。そんなわけない。部屋には２人以上入れない。車で来てれば移動して待っている。そうでない時が辛い。今回も待合室でＴＶを見ていると心配して店長がペットポトルのお茶を持ってきた。「ご苦労様だけど、もう来ないでね」という感じかな。山の上のボロボロのホテルに手押しで何キロも登っていったことがあった。当直明けで死にそうだった。隣の部屋のドアがあいていたので、中で寝て待っていた。もし客が来ていたら警察を呼ばれただろうな。

愛知か三河地区で、こういう介助してる方がいたら話してみたいですね。連絡ください。（介助よりも、いろんな店にコネのある遊び人のほうが良いアドバイスが聞けそうな気もします）