日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

担当じゃない(直島5)

5時に1人で散歩に出た。桟橋まで歩くと「夫婦船」の小さな船が漁をしていた。

6時にパーク・ホテルに行ってみる。だめだろうと思って、いちおうフロントに来たばかりのスタッフに入っていいか聞くと、大丈夫らしい。勝手にどうぞ、という感じでありがたい。

早朝に見た、誰もいない地下の展示室はあまり経験のない感じだった。限界まで落とした照明で、展示の写真はよく見えない。それが寝起きの心と体によく合う。それにエコだ。

開館時間を長くするには、屋外にするか電気代のかからない展示にすればいい。ホテルスタッフが美術館だと思ってなさそうなのも良い。よいホテルならこれくらいあるだろう、という姿勢かもしれない。


人工の川の終点は味気ないザルだけど、引っかかってるのが小さい松ぼっくりみたいなのばかりで好感がもてる。(何を見ても好意的。)

美しい海辺にコンクリむき出しの壁という、ここの建築のバランスは、ザルと松ぼっくりに似ている。ここをうまく隠すとかえって嘘っぽくなるのかも。


これも同じく。アートなマンホールとかしてなくて良かった(何を見ても・・。)

この付近に「ミュージアム・ショップ」がある。朝は開いてない。昨日着いたばかりに入っている。黄色いカボチャの横でしばらく海を見たあと、海岸沿いに歩き、芝生のカラフルな動物を見てショップに入った。美術館でのいつもの流れ。

そこまでの良い時間に比べて、あまりにつまらない空間との落差に参って、すぐ出てきた。べつに悪いとこもない普通のショップなんで、悪く言っちゃだめだけど。浮かれてた魔法が中のエアコンに当たると一瞬で解けそうだった。あのショップのドアの開閉はアートになると思う。


パーク・ホテルには庭があった。小川沿いに、近づかないと見えない庭があって、これもなかなか。素通りするつもりが、写真を撮ったりして動けなくなった。

ちょうどよく晴れ、ちょうどよく降った。庭が良かったのは雨のせいだと思う。

散歩から戻ろうとすると強く降りはじめた。朝食に行くため美術館を通ると、荒木家お気にいりの彫刻のくぼみには雨水がたまっていた。「今日は乗っかれないね」雨が止んでも、しばらくは水がたまってるだろう。

この旅の「最重要人物」が、朝飯を食べている時に活動を始めていた。その人は、雨が上がるころに、大きなタオルで屋外の椅子を拭く。清掃の人ではない。支配人クラスの正装をしてる。顔立ちも鷹揚な動きも支配人クラスだけど、ゆっくりていねいに椅子の水滴を拭きとっている。

見納めだから、安田さんの「天秘」を見るだけでも見て帰ろう。・・雨が上がって30分もたたないのに、仕事は終わっていた。彫刻はきれいに水分を取られて座ったり寝たりできる。この朝は順番待ちで、僕らが寝て遊んだ後、室内へ戻ると女性の団体が入れ替わり、彫刻に登っていった。

フロントやレストランなど、直接サービスするスタッフは悪くないけど大したことない。そう言いながらも、ぼくらが満足してるのは、全てあの人のプラン通りな気がしてきた。


急いで姉を撮ったら明るすぎた。名物のモノレールで登るホテル・オーバル

大勢スタッフがいて、直接的なサービスがみんな最高水準になるのは難しいから、あの仕事人的な人が裏で始末をつけている。「平時」は、屋上で雲の形を見て天気を予想したり、海の潮目を読んだりしていそうだ。大事なところは押さえて、あとは余計なことしない。地中美術館は、この人の担当じゃないのかな。