日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

まだ地味(直島2)

高松からのフェリーが着いてから、しばらくは日除けの帽子探しのため、港の集落をまわる。大きな店はまだ開いておらず、人に聞きながら土産屋やコンビニに入ってみる。

赤いカボチャは港の入口にあった。港に着いて母親が「カボチャが見えた」というので探す。上陸客からは死角になる場所にある。港の土産屋の、鏡になった壁面に赤いものが一瞬映ったらしい。

草間彌生さんの個展を一度見たことがある。旅行先の広島でたまたまやっていた。自然のなかで見るのは何か良い。じゃあ観光地の池のほとりに立っている像もあれでいいのか。「アートの島」はとても気に入った。自然とアートの調和、アートを引き立てる入れ物=美術館。でも各地の湖に像は立ってるし、豊田市美術館の入れ物だってかなり良い。でも違う。

草間さんの個展で、入り口やパンフレットの作者の近影を見たら、冷静に作品に向かえなくなる。だから自然の中に置く。企画展なら経歴や資料も付けなければならない。当時の僕はちょっとついて行けなかった。草間さんの場合、作品以外が強烈すぎる。だから港の空き地に置く。

調和していない。すごく浮いているけど、そのエリアに1つしか置いてないのがいい。自然がカボチャを引き立てていない。カボチャが瀬戸内の海を引き立てようとしている。僕が好きな瀬戸内の景色に向き合うには、あれくらいしなければ視界に入らない。巨大で原色で水玉で。まだ地味なくらいだ。

こんな感じで、ここでは決まっていた順番が入れかわる。立派な美術館は無駄なことをしている、と思ってしまう。でも、作品と外との関係を見せるためには、立派な美術館を造るよりコストがかかるかも知れない。


黄色いのはアートではありません。杭の根元の影がいい感じ