日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

診療所へ来て下さい(寿3)

傘は、ジャマだし失うので使わない。小さく畳める百均で買った帽子が、バッグのポケットにいつも突っ込んである。少しの雨はしのげる。

関内駅を出て帽子をかぶり、しばらく我慢していたけど雨は強くなりコンビニに入る。普通の傘はなくすので、折りたたみにする。750円だった。安くてちゃんとしてるので感激する。折りたたみだけど、普通の傘のように1アクションで開く。風力5mくらいで壊れそうだけど。

小さなスーパーのような食品店に入る。さっきココ壱のカレーを食べたばかりだけど、今日は風呂に入れそうにないし、食べて元気をつけることにする。旅先では食べることが大事。

東北旅行・田沢湖 - http://d.hatena.ne.jp/Araki/

入り口に傘立てがあるけど、置いていいものか。嫌な思いはしたくないし、傘をたたむことにする。ワン・アクション。あらためて良いカサだ。

小さなスーパーの奥には、小さなスーパーにありそうな精肉コーナーのような厨房がある。カウンターの、肉が置いてありそうなケースに、ご飯と汁物各種が並んでいる。発泡スチロールの容器をラップで巻いてある。山谷で食べた豪華な豚汁を思い出した。豚汁200円と100円のご飯を買う。
ハングルの書かれた食材が多い。ケースのご飯は、半分はオカユだった。梅干しが乗ると50円増しなのか。たたんだ傘を握りしめ、初めは緊張していたんだと思う。キョロキョロと「観察」していたのが、だんだん落ち着いてきた。

厨房の中は賑やかで、何語か分からない、女性たちがしゃべっているのが聞こえる。姿は見えない。カウンターの裏にしゃがんで休憩中みたいだ。レジには何人かが溜まっていて「元気だった?」と声をかけあっていた。元気な顔見られて良かったわ。あんたスーツ着ると見違えるわあ。どこぞの社長さんみたいね。どわっはっは。

6千人以上という寿地区の住人のうち、ほとんどが生活保護を受けている。

家賃はちゃんと払える。安くても1,500円の宿泊代は月にすれば5万円になる。簡易宿泊所の経営は安定している。それで最近直した建物はきれいだ。入り口はちょっとしたマンションくらいの内装を使っている。玄関からのぞくと、しっかりとカギがかかって壊れないドアが並んでいる。部屋が狭いから、並んだドアの数が多すぎることを除けば、わりときれい。

疲れが取れず、9時ぐらいまでぐずぐずして部屋を出る。となりのドアのPost-itに気づいた。

「Wさん 診療所へ来て下さい '10, 5, 20, 9:10」

Wさんは昨晩たぶん部屋にいなかった。物音がしなかった。3Fには人の気配がなかった。朝1人か2人出ていく音がしただけだ。満室だと言った管理人はウソではなさそうだった。古い宿は空室も多いのかな。似たような料金出すなら、新しいほうがいい。Wさんは何してるんだろう。

須藤さんの本に書かれている。これは精神障害者について。

精神病院のような鍵はなく、人びとは個室をもっている。生活費は生活保護で保障されている。たいていの人は入院していたことのある病院や、近くの精神科クリニックに通院していたが、病院にも行かず、薬を飲むこともない人もたくさんいた。
だからといって心配する家族もいないし、文句を言ってくる隣人もいない。明らかに狂っていると思われる人を見つめる周囲のまなざしには、哀れみのようなものさえ混じっている。その結果、私たちはそういう人たちを、無理やり病院に行くように説得する必要がなかった。(p.40)

暗い町を、雨に濡れながら、ぶつぶつ何かつぶやきながら歩く人がいた。朝、帰り道にハローワークに寄ってみる。ドヤ街に必ずある福祉拠点はコンクリートむきだしの要塞か築地の市場のようだ。道をはさんで保育園があって、場違いな感じだった。でも、2つをつなぐものが何かあるんだろう。ハローワークの下を、おばあさんが両手に杖をついて立っていた。ときどき目に入ると移動しているので、ものすごくスローペースで歩いていたんだろう。

「何もしなくていい、ただ見ていればいい、と自分に言い聞かせるようになった(p.41)」

町づくり→都市計画→住宅の設計→住民参加(矢印あまり意味ない)というのと、福祉政策→当事者参画という話が、現在ぼくの近くにある話題なんだけど、付きものの「コーディネーター」的な人たちが暗躍するわけだけど、ここは違うよな、と思う。

本気を出せばコントロールできる人が、アクセル控えめでブレーキをふんで「コーディネート」するのではない。いまの寿は誰が作ったわけでもなく人が集まって、コントロールしなくても時代とともに変化し、それなりに調和する「生き物」のようになっている。

コントロールしたくても、出来ることは少ない。圧倒されて、諦め半分、でも地道にやるか、というほうが自分に合ってるかな。こんな重い仕事は無理そうだけど。