日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

ウコンサイダー 340ml

前の日記のタイトルは「本、サイダー、墓場」だったんだけど、長くなったのでサイダーを別にした。意外と人は、自分が望んでいるものが分からない。

手持ちぶさただけど何をしていいか分からない時に、葬儀屋さんの本にはまってしまった。まさか葬祭業関係の本が読みたかったとは予想できない。墓場は、もともとは家が暗いので気分転換の「肝だめし」に行くつもりだった。

衝動買いや、急にどこかに出かけるときは、「その場かぎり」の動機じゃなくて無意識でずっと動いていたものが現れるのかもしれない。そうだよね、マダム。(←京都で衝動買いした謎の置物。4万円した)

まだ暗い5時半ごろ門司海峡大橋のたもとにあるサービスエリアで休憩する。なんか楽しい売店だった。愛知近辺のSAは地味に感じる。業者に売り場を場所貸してるのか、どこも活気がある。正確にはレジの人は眠そうだけど、並べ方やPOPが「買え買え」と攻めの作りになっている。せんべい平積みとか少なくて、明太子ばかりとか、ウニばっかりとか、砂糖ばっかりとか。

寝起きの混乱で、ちょっと迷ってしまったけど、使う場面が想像できないのでやめた。基本的にこういう、楽しいけど後で後悔しそうな店は苦手だ。ビレバン的な。喉がかわいたので飲み物コーナーに行くと、冷蔵庫が1つ「全国のご当地サイダー」特集になっている。

情報ウコンサイダー

こういうのもビレバン的で好きではない。喉がかわいたから飲み物は欲しいけど選べない。疲れと乾きと眠さと胃のむかつきに、長時間イスに固定されていて解放された感じと、自分の状態が把握しきれない。何が飲みたいのか選べない。

でも炭酸は飲みたいな。甘いのもいい。お茶やコーヒーはダメ。慣れたコーラやC.C.レモンはどうか?ノーらしい。消去法していくと、最終的に「うこんサイダー」になった。最後は「トマトサイダー」と競っていた。不思議だ。別の声は「あーあ、ぜったい後悔するって。選べないなら水道にしとけよ」と言っていた。

発車ぎりぎりにバスに乗り込み飲んでみる。これがもう、真夏のビールを越える感動体験だった。日記を書いている今は飲みたくない。こういうニッチな飲み物に光を当てていきたい。岐阜で買った、結局飲めなかった「柿ジュース」とか。
その飲料メーカーは静岡県島田市にあった。友人が住んでいるところだ。木村飲料さんという。ふざけたような商品が並んでいるけど、よく見ると愛情にあふれている感じもする。

ダルマサイダー


学問の神様である天神様を主神とする由緒ある神社で原材料に合格祈願をしていただいております。
情報ダルマサイダー

うこんサイダーから強引に、これまで書きづらかったことを書いてみる。問題の写真も、家族からクレームがつきそうなので白黒にした。でも白黒だとイメージがちがうし、暗いので「うこん」カラーにしてみた。

兄が亡くなった月ということで、昔の写真などを整理していた。大量に出てきたのはベッドサイドに置いてあって定期的にトイレに捨てていた尿のタンクの写真だった。約70枚、2ヶ月分ある。要らんことしいの弟が勝手にやったのではなく、わりと家族ぐるみで制作していた。

熊本でもその話題になった。「なんで撮ったんだろうね」少なかったり濃すぎるとよくない。たくさん出て良い色なら安心する。その記録をとり始めたと思うけど、正確なところは忘れてしまった。

もう少し元気なころはビデオをたくさん撮ったけど、あまり動かなくなってからは本人自体を記録しても変化がない。

変化がないこともないか。6年前に書いていた日記も読んでみた。兄の友人たちに様子を知らせる公開日記だった。「短くなるローソク」という例えは違って、毎日調子が変わった。日記の以前も、もうダメかという日の翌日はやたら元気にあふれていたり、多彩だった。(七回忌ということで、こっそりこのブログに移動しました。家族に説明せねば・・)

だんだんしぼんでいく「よくある重病人像」に負けないよう、変化を残そうとしたのかも知れない。見舞い客はしょうがない、来るたびに弱っていく。カラ元気のピークが落ちていくのはかくせない。ただ、毎日見ている家族も、印象がごちゃごちゃになって、「おしなべて等速直線運動で弱っている」という評価になってくる。2日も元気なければ、もうダメかと思う。弱るスピードが分かれば、ゴールも分かってしまう。

終わりが来るのを感じたくないのもあるけど、そもそもローソクのメタファーは間違っている。本人の体の状態は毎日違うし、たぶん本人の気持ち的なものはもっと違う。余命などとは別の次元の話だ。ローソクは、看病人が一喜一憂してストレスを感じないための理解のしかただ。受け入れるための準備、守るための道具。消えていくローソクより、日々増えたり減ったりする尿タンクのほうが正確だと思う。日が差すとゴールドに輝いて、とてもきれいだった。

2003-12-31 - http://d.hatena.ne.jp/Araki/

食事量も大事な指標だった。でもこれは、親に「お兄ちゃん、そろそろ・・」と言わせないための、次男の意地の張り合いだったような気がする。兄貴には悪いことをしたかな。

おかげで、福祉の世界が「意地の張り合い」になりやすいワケがよくわかる。でも「それぞれ好きなようにやれば」という答えしか得られなかったので、あまり仕事では生かせてない。