日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

熊本から「よいお年を」

無線インターネットの「Wimax」は今のところ、とても高評価です。15日お試し版は、かんたんな手続きで、申し込みから2日で機械が届く。周りは田んぼだらけのアパートでも5MBの速度が出た。

熊本で家族が集まる。旅先でもテストしよう。夜行バスまでの時間、テストが終わった自分の部屋の整理を始める。プロバイダとNTTに電話する。フレッツ光を解約してしまおう。

数千円安くなる。でも、スピードは5分の1になる。狭い部屋から、機械や、(何だか忘れて触れられない)ケーブルがなくなる。ルーターも外そう。インターネットの共有なんかしなくても、このライターくらいのアンテナを付け替えるだけでいい。少し不便だけど身軽になる。

今年、時間のルーズさによる損失は、11万円となった。無駄な出費が多すぎる。家計の固定費を見直すことにした。まずは通信費から。

その夜、さっそくバスを寝過ごした。あわてて翌朝の飛行機を予約するが、それも寝過ごした(本当にあわてていたのか)。ANAからは丁寧にも「乗り過ごしたけど、払い戻すなら申し込んで」というメールが来た。

思わぬお年玉をもらった感じだ。うれしいので深くは考えないようにしたけど、これは申告制にする必要あるの?僕の学科の学生が作りそうな「軽い屈辱感を与えて、反省をうながすシステム」なのかも。

役に立たない目覚まし時計は、いつも8時または20時ちょうどを指していた。前回飛行機に乗り遅れたときも。8時45分が出発時間なのに。体内時計はサボっているわけではなく、別の目標に向かっていたみたいだ。

もう新幹線しかない。開き直って午後発にして、千種の絵本専門店「メルヘンハウス」に行く。思ったより大きくて驚いた。無理かなと思いつつ、姉へのプレゼントをスタッフのかたに選んでもらった。
「歳はこれくらいで、何とかでかんとかで、仕事でお疲れのようです」いろいろ出てきて感動した。ソムリエみたいだ。音楽やアートの贈りものを人に選んでもらうのはだめだけど、絵本は許される気がする。ワインといっしょで、頼むほうも贈られるほうも新鮮だ。やたらワインに詳しいのも気持ちわるい。絵本は面白い。

はっぴぃさん

はっぴぃさん

他にもいっぱい買っていったけど、姉はこれを選んだ。タイトルの「はっぴいさん」は「あらわれませんでした」という所が気にいった。

ペツェッティーノ―じぶんをみつけたぶぶんひんのはなし

ペツェッティーノ―じぶんをみつけたぶぶんひんのはなし

「なんの ことか よく わからなかったけど ペツェッティーノが うれしそうだったから みんなも うれしかったのさ」が好き。

こたつを囲んで、おみやげの絵本を家族で読むのもいいものだ。かつて荒木家の蔵書には「おおきなおおきなおいも」と「ふしぎなえ」があった。母は「おおきなおおきなおいも」に思い入れがあるらしく、痛んだら買い直すなどしていた。

「何が良かったのかしら」ぼくも好きだったけど、そう言われてみると何が良いのか・・。ワインで頭が働かず、ぼんやり考え込む。「イモの色がいいんだよ。あの紫はあれにしかない」という主張をしてみた。単純だけど言葉にできない感情を、絵本作家はどうやって形にするんだろうか。絵本は面白い。

1日目の夜はワインと鍋(と絵本)だった。2日目は阿蘇のドイツ風レストランで、ソーセージ盛り合わせとドイツビール。本場?のジャーマンポテトはうまかった。ほろ酔いで温泉へ。ぬるめの露天風呂に浮かんだまま寝ていた。松代の37度の温泉で「ぬるめ」に開眼した。アルコールとのカクテルは、危険だけど極楽へ行ける。

2日目の夜、姉が借りてきた「ベンジャミン・バトン」を観るが寝てしまう。22時に寝るなんて。おそるべしベンジャミン・バトン。

3日目帰る日。となり町植木の「温泉ドーム」へ行く。このあたりの温泉施設の食堂は、メニュー豊富なセルフ形式が多い。おでんとか刺身に郷土料理など。焼酎とビールで、ほろ酔いを越えたレベルへ。親父ともいい話ができたけど、覚えていない。セルフの居酒屋があればいいと思った。そのあと温泉へ。博多までのバスで本を読もうと思っていたが、寝てしまった。

博多で2時間どうしよう。動いてもろくなことはないので、天神のジュンク堂に行く。すごい本を見つけた。

英国墓碑銘文学序説―詩人篇 (中央大学学術図書)

英国墓碑銘文学序説―詩人篇 (中央大学学術図書)

ヨーロッパでは、墓に記す短い言葉=墓碑銘の長い歴史がある。「旅人よ」で始まることが多い。これは面白い。日本では、墓の言葉は親族にも謎めいている。King Crimsonの "Epitaph" は「混乱こそ我が墓碑銘」と歌っている。詩人や作家が作った墓碑銘、自分用の墓碑銘、人から贈られた墓碑銘。「有名な作家がつくったから良いとは限らない」と書かれている。法事ごとは、何かと慌ただしいですから。

「墓碑銘は、人物の生涯と業績も合わせて見なければならない」ということで、情報もりだくさんで極太な一冊になっている。窓ぎわの「座り読み」のイスで、向かいの "Seattle's Best Coffee" の電飾をバックに優雅な時間つぶし。ちなみに、細い路地をはさんで向かいにスターバックスがある。ス店が屋外テーブルで路地を浸食してくるのを、きれいなブルーの電飾のカーテンで防いでいる。

『宝島』のスティーブンソン氏は、既婚女性を好きになってアメリカまで追いかけて結婚し、晩年はサモア諸島に移住し亡くなった。その奥さんに残した詩。英語でかっこつけたい訳ではなく、日本語訳をメモできず、訳もできないので。

Under the wide and starry sky
  Dig the grave and let me lie:
Glad did I live and gladly die,
  And I laid me down with a will.

This be the verse you grave for me:
Here he lies where he long’d to be;
Home is the sailor, home from sea,
  And the hunter home from the hill.

ウォルター・ローリー卿や、A.E.ハウスマンなんて人もしびれたけど忘れてしまった。唯一、財布にあった誰かの名刺にメモったの。ヒラリー・ベロックという人。筆者は「ほとんどが1つ音節の単語なのにすばらしい」という、マニアックな評価をしていた。

Of this bad world the loveliest and the best
Has smiled and said "Good Night", and gone to rest.


この悪しき世界で 最愛のすばらしい人は
笑って「おやすみなさい」と言うと 安らかな眠りについた