日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

伊予旅1・しまなみ海道

海の道。本当に歩いて渡れるのか最後まで確かめなかった。旧暦5月5日に大三島で祭りがある。新暦では、今年は28日ということは調べた。でも平日のその日に本当にやるのか、問い合わせていない。

幅50キロの瀬戸内海を歩いて渡れるらしい。いつかきっとそこを歩く。なじみのない遠方の海に浮かぶ小さな島の、ほんの数分で終わる美しい儀式に立ち会えるかもしれない。

長年の「歩く夢」をつぶすには、ネットで見つける「歩行者進入禁止」というちっぽけなテキスト情報だけでは「ドラマがない」。歩くつもりで行って、靴も買って、現地の橋のたもとで立ち尽くす。何しに来たんだ。これなら話のネタになるし、面白い旅になる。夢は無駄にならない。人は無計画だと言うけど、こんな緻密な計算もないよ。
旧暦→新暦変換「たぶん28日くらい」という間接情報で休暇願いを出し、帰りのバスのチケットを買う。童話にも出てこない多幸感あふれる儀式が、何月何日何時から、具体的になるほどファンタジーが薄まる。もし誰もいなかったら、次来るとき倍盛りあがるからいい。

当直明けですぐ出発するはずだった。会議が入っていた。愛媛に行くと伝えていた同僚が「まだ帰らんで大丈夫?」と心配してくれた。「もうやばい。これじゃ今夜は大変なことになる」反応がアバウトなのは、何も準備していないから。旅モードで会議は聞けない。いたたまれず、現場の応援だといって抜け出す。帰って、寝袋とポンチョとマットを持ったら何とかなる気がしてきた。

予定から3時間遅れで尾道に着く。雨がふり始めた。もう21時近い。先を急がないといけないが、夜の尾道は立ち止まって眺める街角や港の風景がそこらにある。夜の港は、街中の規則的なものとは違う、淡くゆらいだ光に包まれる。遅れて来てよかったと思う。

2本目の因島大橋への登り口は、車、自転車、歩行者3通りある。車の方へ往復4キロの回り道をし、深夜1時に220段の階段を上らされ力尽きた。詳細は伏せるが、とある場所で寝て起きたらパトロールの人がいた。「泊まったんですか?ほーそれはいい。泊まるには最高の場所ですね」

「念のため住所と名前を教えて頂けますか」