日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

マコンデ美術館

ずっと行きたかった鳥羽のƒ}ƒRƒ“ƒf”üpŠÙへ。やっと来ました。ホテルや観光地にあるチラシの作品は強烈すぎて、これまでは勇気が出なかったし、そのときの連れを説得できなかった。

日本一の観光地・伊勢に呼び寄せられる秘宝館(それに準ずる怪しい施設)は多い。「巧妙に隠された秘宝館ではないのか」この囁きに勝てなかった。なぜ隠すかわからないけど。アフリカの文化とか良いこと書いてるが、けっきょくグロとエロなんじゃないのか。「アフリカ奥地の忘れられた部族の奇妙な儀式!満月の夜に繰り広げられるおぞましい快楽の宴!」とかなんとか。


4,5年前に高知県立美術館で「ティンガティンガ&リランガ」の絵画展を見た。最初子供っぽいと感じたけど楽しそうでよかった。そこに黒い彫刻があった。

入りやすいとは言いづらいけど、美術館の姿勢は気持ちいい。写真を撮っていい。触っていい作品もある。目の不自由な人が触覚でアートに親しめるというのは聞いたことがある。

部屋にぎっしり並んだ作品のプレートにところどころ赤いシールが貼ってある。「印がついている作品には手を触れないで下さい」逆じゃないの?要するに繊細すぎて強度がない作品以外はぜんぶ触っていい。もちろん監視する人もいない。

個人のもので管理する余裕がないのもあるけど、それに比べて「ちゃんとした」美術館の息苦しさはどうにかして。豊田市美術館さんへ。展示室に座っているスタッフは監視カメラにしたらどうか。退屈に必死にたえるスタッフの表情を見ると何を見ても冷める。企画展は自由で楽しい作家を呼ぶのに、入れ物がそれを拒否している。もったいない。

マコンデ族の伝説

今はマフタという名の、ルブマ川流域のあるところに、ある日、人とも思えぬ様子をした人が歩いてやってきた。彼は水浴みもせず、髪の毛も切らず、飲み喰いさえもほとんどしなかった。

彼はマフタに留まることに決め、夕暮れを迎えた。退屈だったので木ぎれを拾い、それに自分自身とそっくり同じように見えるものを刻み込んだ。夜、彼はできあがった作品をまっすぐに据えて、かたわらで眠ってしまった。

朝になると彫刻は生命を得て女性になった。肢は彼女とともに楽しく水浴みをした。彼は完全な男になり、彼女は完全な女になった。彼らはルブマ川のほとりに住み、しばらくして女は死児を産んだ。水のほとりの他の場所に移ったが、再び死産。次の土地も水の近くで結果はよくなかった。

彼らは水辺を離れてマコンデ高原に住んだ。そこは乾燥しており、女は多くの元気な子を得た。これがマコンデ族の血統の始まりである。

最初の人間が黒檀の彫刻から生まれたんだそうだ。徹底してる。最初に像をみてショックを受けたけど、こういろいろ読んで感心して「人間ってすばらしい」と納得する。つまらない人間になったものだ。


「娘の虫歯を抜く母親」

パネルを読むと「苦悶の表情を浮かべる娘と、落ち着きはらった高貴な表情の母親の対比が面白い」面白いけど作品としてなんなんだ。分かったつもりになることはできるけど、それは理解ではなく、これまで理解したものに合わせて分類しているだけだと思う。

おみやげコーナーで「もっとも理解困難な」彫刻を買った。なんであんなもん買ったんだろう。とにかく不快な像だった。買って良かったとは思えないのに買わずにはいられなかった。気になる人は見に来てください。


気に入った抽象的な彫刻。とても硬い木だから奇抜な形もできるし触ってもいい

おみやげのレジにいた優しそうな存在感の薄いおじさんが館長だった。知らずに「ここ作られた方は、今でも買い付けに行くんですか?」と聞いたら「最近はちょっと行ってないね。ああ私ですけどね」何百という像をひとりで買い付けに行った。美術館まで作ってしまったみなぎる情熱は外から分からなかった。もうだいぶ「吸い取られてしまった」感じだ。