さだまさし
さだまさしのコンサートを聴きにいく。付き添いのボランティアとして行った。施設に迎えにいったら「付き添いたいへんですね」と事務員さんが声をかけてくれた。
付き添い者のチケット代はたいてい利用者持ちになる。
「ただでコンサート見れるのは良いけれど、さだまさしじゃねえ・・」
「いえ、実はぼくもファンなんです」
さださんに悪いことをした。
「ファンだから」ファンになっちゃった以上、古かろうが、ダサかろうが、おっさんだろうが、受け入れられるんです。内容よりも「ファンであること」が重要です。憧れの対象があって日々のくらしにささやかな潤いをもたらすこと、それ以上ではないんです。
弁護したつもりが、かえって悲壮感まで漂わせてしまった。
「そうなの。ごくろうさま」
コンサートはすばらしかった。訂正しなければならない。僕はさださんのファンであることは変わらないけど、それより前に音楽が好きな人間だ。そして、会場に来ていたファンクラブ会員ほどじゃないけど、音楽は同好の仲間といっしょに楽しむのがいい。
入場時に渡されるパンフレットにはファン一人一票で選ばれた人気曲50曲のリストがある。今夜の演奏曲は何も決まっていない。演奏曲は観客のくじ引きで選ぶ。ギター一本持ったフォークシンガーがリクエストを受けるのとは比べられない。
コーラスあり、和太鼓ありのステージを一曲ごとに組み替えないとならない。照明も50曲分プログラムしてある。リハーサルも50曲分やったんだって。