日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

ナイトハイク at 設楽町岩古谷山

この小さな旅の話は、御岳登山d:id:Araki:20050629:1120022118とおなじく慎重に書かないといけない。先月知り合いたちが仕事帰りのままのスーツや河童の着ぐるみで富士山に登っている。自然をナメた、そういうスタイルではなくて、「認知の道(夜の森編)」d:id:Araki:20050203:1107424954の延長上にあり、より自然と向き合おうとしてこうなった。

夜中に岩場の多い山を登ることは、やっぱりなめてるんじゃないかと思われそうだけど、今回は女登山家のメールサポートつきで、たくさんアドバイスというか非難されつつ登ったのでもう勘弁してください。

日没とともに山に入る。急な杉林の斜面を登っていくが、なだらかな道がジグザグに作ってあり歩きやすい。女登山家は「岩場がおもしろいのよ」と薦めてくれたけど、この山の、とくに夜の山の醍醐味は単調なジグザグ道だ。

最初はウォーミングアップにいい、広くて安心して歩ける、と現在の実用性を喜んでいた。作った人はえらい。誰が作ってくれたのか。この道の歴史は古い。月のない真っ暗な夜も、どしゃ降りも嵐でも村人が通い、牛や馬が物を運びつづけただろう。夏は草を刈って、壊れれば石を積んで直し、村が大きくなれば道も拡張する。現代の若気の到りなど軽く受けとめる懐の広さがある。ライトなしでも慣れれば歩けそう。昔の人は急な知らせを持って、深夜でもここを走っただろう。

尾根に出ると、そのまま反対の谷へ下る道と、尾根伝いに山頂へ上がる道に別れる。説明書きがあった。いま来た道は「十三曲がり」と呼ばれ13のターンで急斜面になだらかな道をつけている。反対の谷へも13のターンがある。以前はこの険しい山道が、峠を越えた先の平山部落への唯一の交通路だった。感慨深い。具体的には、古き良き日本文化では、暗い十三曲がりを走って夜這いしに行ったんだろうか。隣村のやつと深夜の山道ですれ違ったりして。

すばらしい岩場は割愛する。一度滑った。山頂のひとつ下の平面のところには城があった。今はベンチが置いてある。人のいないベンチは、暗闇のなかでは人の気配だけ感じさせて嫌だ。奥の暗がりから何かが出てきそうだ。じっと闇を見ている。なぜ人は暗いところから良からぬ物が出てくると予想するんだろう。こんな人里はなれた山では、寂しがりの陽気な霊でも妖怪でも来ることがあっていい。一時間ちょっとで登ってしまった。こっちは朝まで暇だから、その方を希望する。気分を変えると怖さは消えた。

山頂はすばらしい。600メートルもない低山とは思えない眺め。突き出した大岩を登って、てっぺんのスペースに入れる5人しか見られない。数千メートル級の演出だ。

雨が降り出した。ポンチョを使った簡易ツェルトシステムは改善の余地ありだ。少しづつずれていく。睡眠とれなくても明日は休みだ。ナイトハイクのいいところ。