日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

自閉症入門・前半

自閉症入門―親のためのガイドブック

レビューじゃありません。読書メモ。

1章

ジョン:高機能。ヒットチャートを暗記。「他の人がつぎに何をするかどうしても分からない」
ルーシー:知的障害あり。心理学者の治療でかんしゃく治まる。ポケットに手を入れる指導で「手噛み」無くす。50の簡単なサイン言語で意思表示。

「反復」と「こだわり」
1943年、精神科医レオ・カナーが自閉症を記述

2章 診断

次の3つの主要なタイプの行動群が重なって出現するときだけ自閉症と診断される

  1. 社会性の発達障害
  2. 対人的コミュニケーションの発達障害
  3. 関心と行動が限定的かつ反復的

診断時の年齢が決定的な要因となる

  1. WHOの分類基準(ICD-10): 生後36ヶ月の間に3つの症状
  2. 米国の基準(DSM-ⅢR): 症状の出現時期の記録
評価 アセスメント

類似障害との混同に注意(選択性緘黙愛着障害、言語発達障害、崩壊性障害)
非定型自閉症(特徴が揃わない、また3歳以前に出ない)
アスペルガー症候群(言語発達○、社会性障害)自閉症スペクトラム
2歳以前に診断することは困難

  1. 言語によるアセスメントが可能な時期
  2. 崩壊性の場合、2歳以降に症状が出る

3章 親

家族との死別に近い反応

  1. ショック、感覚マヒ
  2. 否認
  3. 怒りと罪悪感

診断に相当期間かかるため、誕生直後に分かる障害とくらべ、比較的ショックが少ない場合も
診断者は、初めに短い告知と、受け入れられる時期になって詳しい説明を
様々な段階にいる家族が集まる場:不安や悲しみを伝え合うことは有益

4章 原因

心因論の証拠はない
明確な原因も不明

生物学的理論:手がかり
  1. 症候群の特徴:男子に多い。地域と文化に拠らない
  2. 合併する障害:知的障害てんかん、神経学的症候群、先天異常、妊娠出産の困難
  3. 他の状態との関連:染色体/遺伝子の状態、代謝疾患、ウイルス感染、先天異常

ただし、多くの自閉症児に医学的症状が無く、てんかん知的障害も無い。生物学的原因との明確な関連を示すものは少ない。
中枢神経を損傷する生物学的要因があって、同時に自閉症状があるばあい、それが原因であある可能性がある

遺伝的要因

2〜3%のきょうだいに自閉症:無視できない率
自閉症児の双生児:2卵生より1卵生のほうが多い→遺伝の影響大きい。100%ではない

フェニールケトン尿症(PKU):毒素を分解する酵素が生成できない。血液を巡り脳を損傷。治療法が見つかるまで自閉症を起こすことも多かった。
神経性維腫:
結節性硬化症:
脆弱X症候群:自閉症児のなかの生物学的要因の割合もっとも高い(10%)特異な顔貌(大きな突き出た耳、長い鼻、広い額)
メビウス症候群:先天マヒ

妊娠時と出産時のリスク

自閉症との関連で報告されている

  1. 誕生時35歳以上
  2. 順序 第1子か4子、それ以降
  3. 投薬
  4. 分娩時、胎便あり
  5. 4〜8ヶ月に出血
  6. 血液型にRh不適合

原因でなく結果か?

感染症
  1. 風疹
  2. サイトメガロウイルス
  3. ヘルペス脳炎

ただし、感染症にかかった子供の大多数は自閉症とならない。

けっきょく脳損傷を起こす原因をたどるしか

外傷や投薬も含めて、脳に異常を起こす何か。しかし、脳には一見なにも異常が見られないことも多い。

5章 脳

死後脳による研究

場所:前頭葉、大脳周辺系、脳幹、第4脳室?、小脳(ほぼ全部じゃ?)
自閉症だけに見られ、他の症状には見られない決定的な異常は発見されず
小脳のⅥ〜Ⅷ小葉が小さい。脆弱X症候群にも同様の報告。小葉は「注意」を司る説も。

電気的活動

音、光など事象関連電位検査:新奇な音に対する処理異常

生理学的

神経伝達物質セトロニンの濃度異常:自閉症児の30〜50%。ただし知的障害児にも同様の異常

前頭葉理論

自閉症状は前頭葉の異常から、という新しい理論。次章にて