日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

霧箱(きりばこ)

amazon:プラネテス」という宇宙飛行士が出てくるマンガを読み直していて思い出した。

マンガには、昔の船乗りみたいに未踏の地にあこがれ、より遠い宇宙をめざす野心旺盛な男たちが出てくる。でも作者のねらいはスペースアドベンチャーではなくて、舞台を宇宙にすることで何の冒険もない地球上でのふだんの生活や人間関係が鮮やかに見えてくる。その辺が上手いな。

早く宇宙へ飛び出したいと焦る男たちに「いまいる(地球上の)この場所も、あの星のあるのと同じ、宇宙なんだ」と誰かが出てきて語りかける。マンガでもアニメ化されたのを観ても何度も出てくる大事なテーマらしい。

霧箱」という宇宙線の動きを画面や道具を覗かずに「生で」見られる装置が、上野の国立科学博物館の地下3階にある。

先日、国立科学博物館がおもしろいと聞いて用事のついでに寄った。なんとなくカビ臭い部屋に標本がずらっと並べられている地味なイメージを描いて行ったら、リニューアルしたばかりのゴージャスな展示で遠足の子供が大騒ぎしている。はじめは気分が乗らなかったけど、寄生虫コーナーで一体分ノーカット「クジラの腸&アニサキス」の標本を見て奮起し(大迫力、しばらく麺類は遠慮したい)、2時間後ようやく最後の展示がある地下3階にきた。フロアの一番奥に「霧箱」がある。

霧箱 - Wikipedia

趣味で自作するファンもいるくらいで、とてもシンプルな作りらしい。アルコールとドライアイスでとりあえず作れる。いいかげん疲れていたので、箱を収めてる台に寄りかかってガラスケースの中を白いものがヒュッとかホワッとかやってるのを見ていた。たしか陽子か中性子だと投げ込んだ石を水中から見るようにヒュッと線が浮かび、オゾン?がどうにかするとホワッと破裂したようなかたまりが見える。

こういうのは白黒のモニターや顕微鏡のレンズを通さないと逆にリアリティが無くなっちゃうんじゃないか。地下3階でも宇宙線はじゃんじゃん飛んでくる。そうか、この場所も「自分」だって宇宙の一部分なんだ。とは思わなかった。さっきマンガに気づかされた。当時頭にあったのは、コレ部屋に欲しい欲しいぞ売ってるかな、ということ。