日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

韓国映画「ブラザーフッド(原題:太極旗を翻して)」

たくさんは観てないけど、どれを取ってもハズレが無いってどういうことだろう。韓国映画
JSA「シュリ」「チング」殺人の追憶」そしてこれ。あら5本だけか。より正確に言えば、男主体で濃いストーリーでは外さない。外すどころか、ゼミ室の14インチ画面のわずか10度の視野角から目を離せない。「シュリ」は薄いのでハズレ、途中で止めた。

自分は濃い映画が好きらしいから、無女戦争悲劇事実にスキャンダルまで含んだ「シルミド」は手堅い。そうおもって先日借りたが、翌日急いでいて袋を取り違え、観ないまま返却してしまった。(あの時ですよ、HARUくん)まあ、今の僕にとっては核ミサイルくらい信頼できる作品なので、レンタル屋で「迷ったらしるみど」の一本としてキープしておこう。

ブラザーフッド」のストーリーを頭でなぞってみると、結構めちゃくちゃなことをしている。タイトルは兄弟だけど、テーマは戦争の悲劇ということで、朝鮮戦争のいろんな側面を全部つめこんだ結果だろう。これを観るまでは「チング」が一番だったけど、これもストーリーなんて覚えてない。出てくる人間が良い。役者がいいのか役柄がいいのか。「チング」では、回想シーンのために30近い男に学ランを着せて「学園モノAV」みたいになっていた。でも、真剣な演技のおかげで(気持ち悪いけど)説得力は残った。

印象に残る俳優が多い。いや日本にだってたくさんいるはずだ。もしかすると、自分と同じ文化圏の俳優なら不自然に見える部分も、言葉と文化の違い、に無意識に吸収させているのかもしれない。とおもって、2階の邦画コーナーの最新タイトルを(ケースのみ)順番にチェックしてみた。どれも洗練されてて大人びた感じがする。どれが、と言われると・・ケースが。誰もが映画に熱くなっていた最盛期を過ぎて、やる事やり尽くして、良い意味で余裕がある。コラボレーションなんとか、とか。

韓国はその最盛期が今なのかなと思う(違ったらミアナムニダ)かといって遅れているわけじゃない。表現の技術はともかく、撮るテーマに対する解釈や理解ではずっと先を行っていることもある。今の時代で「戦争の悲惨さ」というテーマに正面から取り組むパワーと経験を持っているのは韓国のほかないんじゃないか。まさに戦争中の地域でも、良い作品が作られているけど大作はできない。大作だから良いわけじゃないけど、金をかけて人が集まる映画で妥協せずテーマを貫けるってなかなか出来ないことだと思うので。

  • 米国は、よく知らない外国へ攻めていって、よく分からず死んでいく理不尽さはあるものの、攻められたことは無い。
  • だからこうなる「ブラックホーク・ダウン」怖いけど、これって「バタリアンゾンビ映画)」だろ。
  • ぎゃくに米国に攻められた、攻められ中の国々は怖くて何も言えない。国力もない。
  • 日本は攻めたり攻められたり朝鮮戦争で儲けちゃったりして、あまり大きな声では言えない。
  • その中でも「はだしのゲン」は奇跡的な作品だと思う。戦争の真実と娯楽と広島弁のコラボ。
  • 朝鮮半島では第二次大戦から現在まで、侵略され内戦が始まり冷戦(?)が今も続いてる。よその国が入り込んで、映画では南から米軍の爆撃機が飛び、北から中国兵の群れが徒歩で来る、最後はお決まりの仲良く半分こ。加害者側ながら、ひどい話だ。
  • そう思うと最近の韓国の活躍ぶりはすごいね。
  • 平和になって、景気がよくなって、自由になって、どれも少しづつ急な変化じゃなかったから、冷静に自分らの歴史を振り返れるのかもしれない。どこかの国のようにに、過去が切り離れてない。
  • たくさんの戦争映画で見たはずの家族との別れのシーンだけど、今回ほどリアルに感じたことはなかった。母親がしゃべれないというのがなんとも。
  • 戦闘シーンの迫力が想像以上なので驚いた。監督のインタビューを読んで納得。兵役があるので、銃器の扱いや戦闘中の身のこなしが身に付いている。

タイトルは見終わったあと少し変に感じる。とにかく戦争の愚かさを繰り返し見せている。どちら側にも立たないために、「家族」にスポットを当てるのは、よくある。でも今回の主人公たちは勝ち負けに全く興味ない。弟を生きて帰す、それだけ。それが、この国の行き着いた答えなのかな。「プライベート・ライアン」の愛国心とはえらくちがうと思う。

兄弟、は分断された南北朝鮮のメタファーかも。(←評論家ぶってて失礼。興奮ぎみなので)

# じゅん 『なるほど。参考になる。 JSAは俺も見たよ。』(2005/2/1 6:35)

# あらき 『ついさっき一本ハズした。開始5分でダメだと思った。この落差はなんだ・・』(2005/2/1 15:54)

# あいこ 『この日記を読んで今まで私が戦争映画に漠然と不快感を持っていた理由がやっとわかった。 今まで見た戦争映画は、 イエイ!最新の格好いい武器を使って、訳わかんねー言葉をしゃべってる奴らをぶっ殺そうゼ!って言ってるようにしか見えてなかった。 それは○メリカ映画だったからかな?』(2005/2/2 10:20)

# あらき 『「ブラックホーク・ダウン」は、ほんとヒドいよ(笑) こっそりゼミ室のプロジェクターの大画面で見たんだけど、めちゃくちゃ怖かった。反戦、というか、ぜったい戦争行きたくない、という教育にはなるかな。』(2005/2/2 12:13)

# やっさん 『(ネタばれ注意) ブラックホークダウンは俺も見た. 墜落したヘリに乗ってたアメリカ人の往生際の悪さには腹がたったな. あいつのあきらめの悪さ(死ぬ前の発砲)のせいで死んだ地元の人のほうが、映画の中のアメリカ兵の死者より余裕で多かったような気がする.』(2005/2/2 21:36)