生協(本屋)で立ち読み
ウチの生協(本屋)は売り場が狭くていい。
食堂の帰りに腹ごなしもかねて立ち読みしたり、ATMのついでに立ち読みしたり、頭が働かないので散歩に出たら外は寒くて、しょうがないから生協への建物に逃げ込んで立ち読みしたり、利用のしかたはいつも立ち読みばかりで無目的。たくさんあると選べないし、面白い本置いてくれてると思う。
学校の本屋って、専門家と大学2年生(偏見か)の両方を相手にするから自然と品揃えが多彩になる。選定するひとは悩むだろうな。2年生は週刊誌とかたくさん買ってくれそうだけど、先生に買わせれば値段が2ケタも違う。しかも狭いから、メディア科向けのアート名写真集の隣に社会向けの各国の福祉制度がどうたらという本があり、小さい島を裏に回ると2kgくらいありそうな「暗号技術大全」とかいう特大本が積まれている。そういう硬めの本は、即席でアカデミックな雰囲気を味わえる。パラパラめくって、すぐ戻す。
『amazon:シルクロード9400km 走り旅』中山嘉太郎
余命3ヶ月と宣告された病人が、ほんの数キロを走るチャリティ・マラソンに出たのをきっかけに次々と長距離走に挑戦していくTVのドキュメンタリーを見たことがある。病気はどうした、という視聴者を放ってトライアスロンを完走し、ついに水泳4km自転車180kmマラソン42kmという「アイアンマン・レース」を走りきった。その元運動嫌いの主婦もたいしたもんだけど、病人をそこまで駆りたてる競技の魅力は何なんだろう。
中山さんも始めはトライアスロンの選手だった。「長距離人力移動」の魅力にとりつかれると日常生活に直接影響が出る。会社にも走って通勤した。レースが開催される福島県まで数百キロを自転車で走り、翌日レースでさらに数百キロ走るって、ほとんど中毒だよね。
トライアスロンって日本では大きく取り上げられないから、なんとなく「総合格闘技」のイメージで見てしまう。邪道っぽさはぬぐえないけど、楽しければいいじゃん、ていう明るさもある。欧米では根付いているようで、熱気が違うと中山さんも書いていた。狩猟民族の血がそうさせるのか、長距離移動にかける彼らのエネルギーに農耕民族の僕は圧倒され通しだ。最初!だったのが?になり、最後は「...。」イヤこっちには中山氏がいるぞ、と自ら励ます。
ダブル・アイアンマン・レースというものがある。2倍走るわけだ。水泳8km自転車360kmマラソン84kmで、計500km近くにもなる。まだまだ、トリプル・アイアンマンもある。単純に3倍するだけ。こんな発想は筋肉で考えないと出ないぞ、と笑っていられるのはここまで。
表1・各競技種目の距離の内わけ(正確には知りません。単位はkm)
種目名 | スイム(遠泳) | バイク(自転車) | ラン(マラソン) | 合計距離 |
アイアンマン・レース | 3.8 | 180 | 42.195 | 230 |
ダブル・アイアンマン・レース | 7.6 | 360 | 84.39 | 460 |
トリプル・アイアンマン・レース | 12 | 540 | 126 | 690 |
4倍・アイアンマン・レース | 16 | 720 | 170 | 920 |
5倍・アイアンマン・レース | 20 | 900 | 210 | 1150 |
デカ・アイアンマン・レース | 38 | 1800 | 421.95 | 2300 |
デカは10倍のこと。6?9は面倒だから飛ばされたらしい。ここまでくると狂気すら感じる。たぶん彼らの目には千キロ先のバッファローの群れが見えている。肉、肉、肉!
中山氏は全てに出場し完走する。しかし、10倍ともなるとF1と似たチームの戦いとなり、身一つでやってきた中山氏には違和感が出てきた。そして「走り旅」に出会う。8kgのリュックだけ背負って、走れるだけ走って、止まったところで野宿か宿をさがす。
中国のシルクロードの起点の町から走り始めたところで立ち読み終了、まだ20Pくらい。
- イメージされるストイックな人物像を裏切って、陽気そうなハゲのオッチャンである。好印象。
- 中国の農村部を走りながら「実家がブドウ農家なので、ブドウ畑を見かけると何の作業をしているか気になってしょうがない。」さらに好印象。
- 中山さんの人柄のせいか、出会う中国人たちが皆親切であたたかい。写真の表情にもそれが出ている。中国の印象も良くなった。
『amazon:東京窓景』中野 正貴
窓をガクブチにして東京を眺める。都会は苦手で、たまに東京に行っても居心地悪くてあまり動き回らない。立派なビルの写真を見ても、中に人間がうようよいて体臭とか香水とかカビ臭いにおいが充満してるんだろうと、グロテスクなことを考えてしまう(大丈夫か)。
プライベートな部屋から撮ったものが多くて、そこから見える景色には住民のあらゆる感情が染み付いている。自分も部屋にいてすることがないとき、よく意味もなく窓から写真を撮った。盗撮じゃないよ。一枚一枚の写真には作者の視点がない(少ない)。これって珍しいんじゃないかな。全体を通しては、あるだろうけど、一枚に写っているのは何千回も見て部屋の住人の網膜に焼きついた光景で、写真家は現場写真ほどしか関わってない。
評論が続かないので、、とりあえずバババとめくって都会も東京も捨てがたい、と思った。
なぜか、はいまいち分からない。次回読んでも同じことは考えない気がする。これは立ち読みの醍醐味。
# じゅん 『米子の皆生温泉に行ったとき、「トライアスロン発祥の地」とあったよ。それに刺激を受けて、ひとつでもクリアできるようにチャレンジしてる。 一日で水泳0.5キロ、マラソン約20キロなら達成できたけど、まだハーフにもいってない・・・ 中山さんみたいな人好きだな。今度見てみるよ。』(2005/1/23 6:49)
# あらき 『すごいじゃないか!20キロ。 こんな計画はどう? 島根→広島(マラソン) 広島→愛媛(水泳) だれか後輩にでも自転車を借りて、 愛媛→枚方(自転車) 千キロあるかな? で、何の冒険かと人に聞かれたら、涼しい顔で「いえ帰省する途中です」と答える。シルクロードに匹敵する素敵なエネルギーの浪費だと思うよ。』(2005/1/23 15:42)
# じゅん 『おっ、そういう帰省の仕方いい!! マラソンと自転車は行けそうな気がするけど、 確実に瀬戸内海で沈んで、魚の餌になってしまう。 水泳は休憩しながらでも、 まだ500メートルくらいしか泳げんからね。 ああああああ、でもやりたいな。』(2005/1/23 20:14)
# じゅんいち 『中山さんの本、今日買おうと思って本屋で聞いてみたら、 「もう出版社にも置いてない!!!」と言われた。 ありゃりゃ。』(2005/1/25 22:21)
# あらき 『あれ?そんな古い本じゃないのに。植村直己賞かなにか賞をもらって、売れてるのかな。』(2005/1/26 0:33)