日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

O嬢の話

人助けの顛末(てんまつ)を聞いた。
ただの美談で終わらせないところが、0嬢と(元気すぎる)西三河老人のコンビのすばらしいところだ。

そのおばあちゃんは浄水駅のほうから来たというから、ずいぶん距離がある。最初に学校の近くですれ違ったときは、ウバ車を押して車道の真ん中を歩いていた。心配して引き返すと、おばあさんは道路の縁石に座りこんでいた。近くに住む友人に湿布を貼ってもらうために家を出て、知らない道に入ってしまった。そのうち自分が何のために出てきたのか分からなくなる。家を出たのが午後10時で、それから2時間冷える夜道を歩きつづけた。動けなくなって道端に座り、タクシーが来るのを待っていたところに0嬢が登場する。詳しくは聞かなかったけど、すごく感謝されたと思う。ただウバ車を車に載せるとき、大事に扱うようにクギをさされた。

暖かいコンビニで助けてもらうか道を聞いたら・・と0嬢が聞くと、コンビニには入ったことがないから、だそうだ。上に書いたようなことも全部自分で説明した。頭がボンヤリしているわけじゃない。自宅の電話番号もちゃんと覚えていて、その番号から住所が分かった。気を遣って強めに車のヒーターを回して暑いくらいにしたのに、もっとあったまらないかと注文をつける。信じられないことに、これで92歳。84の大家さんはまだ若かった。

その大家家(オオヤケ)は確か同じ敷地に3世帯が暮らす。おばあさんは一人暮らしだと聞いて意外だった。中心を少し離れれば、まだ古いものを残している豊田でもそうなのか。近くに息子家族がいるらしい。悩みはやはりヨメだった。ひどいいじめやイジワルに耐え切れず、同居していた家を飛び出した。きっとヨメは、自分が死ねばいいと思ってる。そうでなければ、あんなひどい仕打ちはしない。

おそるおそる、一体どんなことをされるのか聞いてみた。おばあさんは語り始める。居場所を失った現代の高齢者の胸の内を、切々と・・

0嬢は要約してしゃべってくれたが、それでも長いので要点だけ。

  1. ヨメが子供と「おいでん花火大会」に行くとき自分を誘わなかった。
  2. ヨメが子供と「東京ディズニーランド」に行くとき自分を誘わなかった。
  3. ヨメが「東京ディズニーランド」のおみやげに買ってきたクッキーが不味(まず)かった。

0嬢はよく耐えた。とくに、年季の入った三河弁で話される3番は絶妙な味で、笑いをこらえるのに苦労したそうだ。あんなド甘みゃーもん食わされたらたまれんて(予想)。1番はなにか事情があったのか、ちょっとかわいそうだが、23番の流れをみると、どっちもどっちという感じがする。結局、もう還暦すぎのヨメさんが、元気すぎるバアさんを持て余しているという構図なのではないか。ちなみに息子は自分に優しいと評価が高い。「好きなかりんとう等のお菓子を買ってきてくれる」それじゃヨメさんがかわいそうだ。

家について、例のウバ車をおろす時にも念をおされた。何より大事なそのウバ車は、その昔ヨメが還暦のお祝いに買ってくれたそうだ。この辺の心情は青二才には測り知れない。体はこたえただろうけど、見知らぬ若い女にグチを聞いてもらい湿布も(!)貼ってもらって、当初の目的は果たすことができた。
2人とも、お疲れさまでした。