稲作地帯
放置したザックは無事だった。羽黒山は月山を越える112号線から外れているので、合流するまで水田地帯を抜ける裏街道を行く。見渡すかぎり田んぼが続く。もうかなり黄色くなってる。
実家も田舎で田んぼ多いけど、それとは雰囲気が違う。実家近くや貝津町の田んぼは、ところどころ休んで穴が開いていたり、収穫をずらすためか場所によって育ち方に差があるように思う。そんなところで農家の人の苦労や計算がのぞける気がする。小ぢんまりだけど、それぞれ個性がある。
こっちはもっと熱狂的だ。山にぶつかるまでひたすら稲を植える。稲以外知らないのかと思うほど、家や川はしょうがない迂回して残りは田んぼにする。休んでる田は見られない。育ち具合も一緒、下手がペイントソフトで描いたみたいにベターッと視界に広がっている。
個性というより集団で突っ走ってる感じがする。村社会の固い結束や、熱狂的な祭りを生んだのは、江戸時代やもっと前からの厳しい税の取り立てがあったからだと本で読んだ。すぐ影響を受けるから、ここもそういう名残りなのかと思う。ここはまだ年貢制なのか。大事にされてるからか稲元気そう。こないだの台風は直撃だったはずなのに倒れてない。
天気がよかった。空の青と雲の白がくっきり分かれて、見てるだけで飽きない空は、一年のうちでもなかなか無いし、あってもたいてい部屋にいる。それに、空を見ていられるほど、車が少なくて走りやすい道にめぐり合うことも少ない。
TVでみるアメリカの小麦かモロコシ畑みたいなスケールがある。細かい計算は抜きに、作れるだけ作って、余ったら自分で食ってやる、という気概(?)を感じる。