睡蓮沼という、森の中の小さな沼で泊まることにした。峠を少し下ったところに目立たない案内板だけがある。昼間は分からないが、日が沈んで色彩が消えた沼は本当に美しかった。
沼にせり出すように作られた木のテラスが、暗さでぼんやり白く見える。テラスの上ではだしになって、ノロノロとテントを組み立てた。遠くの道を走る車の音がときどき聞こえる。誰もここへ来ないことを願う。床が木で暖かい。8時には寝てしまった。
この沼は年々小さくなっていると聞いた。自然な変化であるなら、自分の記憶にだけとどめて無くなってくれてもいい。とにかくキレイでした。