日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

哀愁の大沢池

紅葉のライトアップを見に行った。そんな話をすると「誰と行った?ひとりで行ったのか」とからかう奴がいる。誰と、ではない。広い公園には僕ひとりしかいなかった。

豊田市近郊には有名なライトアップがいくつかある。池に紅葉が映る北の公園と、山が黄色(ライトが黄色だから)になる東の山と。東の山の近くを走ったら、山に向かう道が15キロ渋滞していた。ほとんど動かないタイプの渋滞。

ディズニーではプーさんと写真を撮るのに30人の行列になっていた。日本人は列に並ぶのが好き・・と書きそうになるが本当は違う。列に並べば走り回る子供もじっと待つし、カップルはささやかな期待感の中ゆっくりハッピーな幻想に浸れる。家族とカップルは並ぶのが好き。一人で行くので待つ気は全くない。
大きな地図で見る

大沢池は藤岡の山奥、矢作川のそばにある溜め池で、仕事で何度か寄ったけどマストアイテムのトイレが無いので職員の評判は悪い。道が悪くて誰も来ない。ここの公園整備は町の一大プロジェクトだったようで、木の遊歩道ができ、池に浮かぶ立派なステージもあってコンサートをたまにやっているそうだ。紅葉のライトアップもやっちゃった。少なくともシーズンの日曜の夜、誰もいない。

個人的には好きな場所。春のいい天気に木のステージに寝ころんでいい気分だった。秋の夜、入り口がまったくわからない。昼間でさえ小さい看板はあるものの民家へ入る私道に間違うコンクリの急坂に、夜はどうしようもなく、急ブレーキ急ハンドルでたどりつく。

池までの500メートル、ところどころライトが置かれ葉の落ちた数本のカエデがさびしげだ。期待感の反対は失望感ではなく「かならず失望しそうな」期待感だと思った。遊歩道にライトが並ぶ。シーズンの終わり、量も質もいまいち。失敗だし一人で来てよかったと強がってみる。車を降りる。発電機の音がうるさい。誰もいない。

ステージに乗ると静かな湖面はきれいだ。池を挟んで月のない黒い山がせまる。明かりが消えれば人家のない山奥は怖い闇の世界になる。ライトアップと暗い山に挟まった細い池は、深くより静かに感じる。

とりあえず山に近い遊歩道の終わりまで歩いてみた。

写真では写せない。とくに携帯の写真ではものすごくガッカリなことになった。なんとここが絶景ポイントだった。ライトアップの上の森が照らされて、カエデの単調さじゃない複雑でかすかな色合いが湖面に映る。波のない、他に邪魔する光も音も人もない静かな水に。北にも西にも負けない北北西の名所だった。写真は、魚が跳ねたのか波紋がきれいな円でひろがったところ(まったく分からない)。

さっそく誰かに確認してもらおう。誰かに教えてあげねば。夜勤&ヘルパー明けの疲れも飛んで来た道を戻る。平日はやってるのか、山道を降りたところの看板で確認する。あれ?23日まで。今日で終わり?21時まで。あと5分で終わり?藤岡町のみなさん、ごめんなさい。ぼくの説明はあまり信用されないのです。来年も期待してます。それまでにもう少し説得力を磨きます。