日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

映画 『インサイドマン』(軽いネタバレ)

おもしろかった。他のレビューを読むと「銀行襲撃→警察の出動の展開にドキドキ」した人がいたけど、似たパターンをよく見るので少し飽きてました。きれいに駐車すればその後の捜査がやりやすいのに、狭い現場へなぜドリフト気味につっこんで行く?人質がいっぱいいるのに「とりあえず全員銃を構える」のも嫌な感じだ。すぐ銃を抜くのは銃社会アメリカを守る警察の緊張感が出てて、平和な日本人はしびれてしまうのだけど、そろそろ違うパターンが見たい。

ついさっき、日本戦の裏で「突入せよ!「あさま山荘」事件 [DVD]」をやってました。事実にそったリアルな映像が映画として楽しくても、ぼくらが頼りにしてる警察が、数人の犯人グループに対して人数ばかり多くてドタバタジタバタしてる姿は見たくなかった。ワーとかいって突入してすぐ撃たれていた警察官、見ていてつらかった。この感覚とちょっと似て、テロのあったニューヨークでは「全世界で通用するフィクション」としてのハリウッド映画がフィクションとして見れなくなっているのかもしれない。あんな悲劇が起きた場所でデリカシー無いことはやめてよ、と。

ジョディ・フォスターは、これまでエラのところが気になって顔が好きになれなかった。一緒に見にいった友人は「フケた」と言っていたが、今回の作品では個人的にすごく美人に見えた。そして存在感がある。結果的にストーリーに何の影響もない役だったため、なおさらジョディ個人の魅力が強調されたようだ。防弾チョッキをきて乗り込むのはカッコ良かった。でも犯人に手玉にとられていた。最後まで不敵に笑っていたが、走り去りながら「今回は見逃してやるわ!」と叫んでるのと変わらない。

アルメニア女は性悪だった。なんでアルメニアが出てくるのか。スパイク・リー監督独特のメッセージでもあるんだろうか。監督の作品は「マルコムX [DVD]」しか見たことない。ファンには分かるのかと思ってmixiのコミュニティをのぞくと「監督らしい人種問題をテーマにしたシリアスなものを期待すると肩すかしにあうかも」なんだって。「肩すかし」か。ジョディもそうだった。作品のテーマは「肩すかし」かもしれない。

人を傷つけない、悪人からしか盗らない「義賊」だということが強調される。強盗団のボスは設定がどこまでも善人なことが分かるにつれキャラクターの面白味が減っていく。犯罪サスペンスなのに「教育的」なセリフやシーンが目に付く。刑事に「差別的表現は控えよう」と言わせたり、バイオレンス系のゲームに強盗が嫌な顔したり。ふたりは表面的な言動(軽い刑事と銀行強盗)とは別の背景を背負っている気配をただよわせるけど、最後まで謎だ。これも「社会派」スパイク・リー原理主義者を釣るためのエサかな。深読みしようとした観客の足元の床を抜いて、盛大にスルーしてしまった。これが鮮やかで気持ちいいんだけど。

作品サイトでプロデューサーが「いかにして観客の注意をそらすか。それが最大のポイントだった」と言っている。やっぱりねらいは肩すかし?トイレはないだろう、と思わせておいて「本当にトイレだった」と分かったショックは大きかった。その悔しさで長いエントリになりました。