日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

ドラびでお

ドラびでお」を観にいく。
ドラマー・一楽儀光(いちらくよしみつ)さんのプロジェクト。ドラムでスクリーンに映る映像をコントロールする。メディア科のおかげで、楽しい怪しいライブを「研究発表会」という形で、タダで観ることができる。

メディア棟地下のスタジオ。正面にスクリーン、左にドラムセットと一楽さん、右の机に芸大教員というプログラム担当の人が座る。

気づいたこと:

  • スクリーンに映ったMacのデスクトップが、天皇ご一家の記念写真だ。
  • 映像をグリグリ動かすパフォーマンスなのに、ドラマーはメカに弱いのかスタートができない。
  • 間違えて出た映像は、リズムに合わせて全裸の男が回転し続ける、というもの。これは覚悟が要る、と思った。
  • 自分のドラム演奏の映像を、生のドラムを使って編集する。ループしたり倍速にしたり。スクリーンの自分と共演するように、じっとスクリーンをにらんで叩く。
  • ドラびでお3」は、リモコンの早送り、巻き戻し、スローなどをドラムのパーツに割り当てている。
  • 素材は「華氏911」と北朝鮮マスゲーム、あと砲弾で、とにかくたくさんの人が吹っ飛んで空を舞う、戦争映画の1シーン。
  • エンディングが昭和天皇の新年のあいさつ。
  • 「こくみんの、みなさん、しんねん、あけまして、おめでとう」を2回と半分。 ・・反則だ。
  • リズムと映像を連動させるため大量にメモリがいる。2ギガ分読み込むのに数分かかる。それでも数曲分しか入らない。
  • ロードする待ち時間に告知など。主催者の意向でいろんなテーマをやる。「自然」はつまらなかった、と笑う。
  • 日本の映画祭に呼ばれたときは、主催者から「ハリウッド映画をズタズタにしてくれ」と要望があった。
  • テーマがエロスのときは「エロびでお」になる。
  • 「エロびでお」で呼ばれた、あるパーティーの料金設定は女2‚000男9‚000。
  • 大阪でDVD発売記念のイベントを行ったが、内容が数々の法に触れて発売禁止に。著作権法違反、名誉毀損、わいせつ物陳列罪、図画法違反、などなど。
  • この会場でもDVDを手に入れることができるが、あくまで「バッジ(2000円)のおまけ」として付いてくるものだ。
  • 「販売できるようになるといいですね」という観客の励ましに、「販売できるようなもの(内容)には興味がない」
  • 「沖縄やくざ戦争」「キル・ビル」「バトル・ロワイヤル」で血の海に。
  • サスペンス・シリーズ。恐怖に叫ぶ被害者の表情を、くどくどくどくど、ひたすら見せつける。
  • 被害者役の演技ってすごい、と映画の魅力を再発見。「シャイニング」の怯える女なんて、主役を食っている。「サイコ」も。
  • 座頭市」では、仕込み刀の一振りで飛び回るハエを真っ二つに・・一振りに2、3分。
  • 忠臣蔵」は傑作だった。侮辱を受けてから切りかかるまでの数秒を3分まで引き伸ばす。スローで見る名役者たちの表情がたまらない。
  • オリジナルにない魅力が引き出されてる。映画大好きというのは本当みたい。
  • そのうち映画監督の方から、ぜひ「ドラびでお化」を、と言ってこないかな。
  • まだ始めて1年しかたたない。そういえば(パクった)素材は最新作が多い。
  • TV録画の「女子十二楽坊」の映像。驚くような映像は出ない。意外にソフトに仕上げたんだな。しかし、何気なく下を流れるテロップを見ると、不穏なキーワードが並んでいる。
  • 女子十二楽坊・・中国出身の(略)「馬鹿の馬鹿による馬鹿のための馬鹿音楽。」 by 吉田兄弟
  • ○村先生から著作権についての質問がでると、とたんに声が小さくなった。イジワルするなよ。
  • ○村先生「わたしも賛成です。著作物=公共物だと考えています。バンバンやって下さい。」なんだそういうことか。

告知文に「くどいくらいのエンターテイメント」と書かれた、まさにそのままの作品だった。どぎついブラック・ジョークと、名作の新たな解釈に笑い転げる観客を、当人は冷静に見ている。滅多に笑わない。質疑応答では「大好きなドラムで自分を表現したい」とキレイなことを言う。一楽さん自身が、最後のブラック・ジョークであった。