日記など 2002年から

福祉の話題が多いです。東京都の西部・多摩地区が行動範囲です。

イモ掘り!

ひとりでいるのが好きだと強がっていられるのも、ときどき友だちが遊びに来てくれるからだ。

今日は大家さんの畑で山芋を掘らせてもらう。おばあさんに聞くと「ええよええよ」お好きなように、という返事だった。おじいさんも同じ返事だったが、短い沈黙のあと「こっからここまで、と掘るとこ決めるでな」と利用規約が付いた。

それはそうだ。いくら収獲の予定がないといっても、ただの山芋じゃない。掘るのはキロ4千円の「自然薯」だ。メロンより高く、マツタケより安いがマツタケの1万倍(適当)くらい体にいい。露骨すぎるので新婚夫婦には送らない。

1・滋養の食として知られる自然薯は、タンパク質・ビタミン・ミネラル等、その栄養価はもちろんのこと、消化酵素アミラーゼを多量に含み、一緒に食べた食品の消化を促すことによって栄養効果を高め、胃腸をはじめ内蔵全般に幅広く効用をあらわし、貧血や高血圧の予防、神経痛などの予防に役立つと言われています。
2・強壮の効能は、自然薯のヌルヌルとした部分にあり、グロブリンとマンナンの結合で成分中のムチンという物質は、タンパク質を無駄なく活用させ、新陳代謝や細胞の増殖機能を促進し、常食すると基礎体力を増強し、虚弱体質・呼吸器障害・ノイローゼ等に効果があると言われています。
3・強精の食としては殊に有名な自然薯ですが、その秘密は、生殖能力を高めるアルギニンを豊富に含有すると共に、アミラーゼ・ウレアーゼ・オキシターゼ・グルコシターゼ・タカラーゼ・ポリフェラーゼ等、多彩な酵素が生態の生合能力を高めて、精力・スタミナの増強に効果を発揮すると言われています。

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いわゆる「山芋」は外来の「ナガイモ」と純国産の「ジネンジョ」に分かれ、対立、はしてないけど自然薯側の一方的な猛アピールが繰り広げられている。

つまり、それだけジネンジョはナガイモ類と一線を画す“別物”ということです。

菜楽

静かな口調ながら、もっともナガイモ陣営のプライドを逆なでするコメント。5倍って。僕の知るナガイモなら、ただのダシに戻る。

このままでは、だんごのようで食してものどにつかえて、自然薯の風味がよく味わえません。
ダシ汁を少しずつすり鉢に入れ、丹念にねり伸ばしていきます。(ダシ汁はお好みの味で)うすく伸ばすほどに品質の違いがよく分かります。3〜5倍に伸ばしたものがじねんじょうの「とろろ汁」としては、一番風味が味わえるところでしょうか。

本当の自然薯の本物の証し"その優れた特性

大学の同期に声をかけたら7人で来るという。イベント好きな一団で、こないだもサツマイモ掘りに誘われたが行けなかった。帰りにイモを山ほど届けてくれたのでそのお返しもしたい。

知り合って間もなく、実家のことを聞きたがるのであいまいに答えていたら、3日後に実家の表札(といっても小さなプラスチック製)が車のハンドルに乗っていた。車に鍵をかけないのも悪いが、600キロ離れた実家に表札を盗みに行く連中はもっと悪い。彼らにとっては「あいさつ」のようなものらしい。

今回は大家さんが絡むので「部屋を追い出されないようにたのむ」と事あるごとに釘をさして回った。社会人らしく耳は傾けてくれるようになったが、翌日大家さんから「畑に落とし穴のようなものがあった」と聞かされ、血の気が引いた。(自分は仕事のため途中で抜けた)

連中が来るまえに大家さんに手順を教えてもらう。スコップは深さ30センチも掘れば使えなくなる。壁を崩す鉄棒と、土を掻きだす大きなマジックハンドのような道具を使って掘りすすむ。約1時間かけて深さ1メートル弱の穴を掘る。それでやっと苗一つ分の芋が掘り出せる。これはすさまじい労働だ。

へっぴり腰で土を掻き出していると、大家さんがやってきて「これかぶったらエエ」と麦わら帽子を渡す。10月の早朝に汗だくになっていた。「荒木くん。食っていくってことは大変なことだ、なあ?」よく分かる。機械がないころはこうやって掘っていた。

60センチくらいの立派な芋を無傷で掘り出し、大屋家に見せに行くと連中が到着していた。作業を始めるまでにやたらと時間がかかる。僕が掘った穴にゴザをしいて落とし穴を作りはじめた。遅れてきて、しっかりと穴に落ちるメンバー。しかし、土の中から何かを掘り当てる行為は男子を引きつけるものがあるらしい。しゃべるのを止め作業に熱が入ってくる。隣のスタンドから従業員が何か叫んでいる。「休憩時間にそっちへ行くから混ぜてくれ」なんか楽しいことになってきた。

畑をまかせて、昼食の準備をする。麦飯5合は炊き上がり、ダシも取った。自然薯の皮はむかなくていいはずだが、女性陣を説得できるほど積極的な理由を知らなかった。後悔している。ナガイモの皮は厚い。だからむいた方がいい。だけど、自然薯はとても薄く、うまみと香りは皮に詰まっている。ただ、男子に梅肉を買いに行かせた女性陣はさすがだ。

同じ根菜でも、大根にんじんに比べて、自然薯はとてももろい。掘り出しながら割れてしまった切れ端を口に入れると、砂利まじりだけど芋の香ばしい味がして、それだけで十分うまかった。食っていくってことは大変なことだ。大変だが、それを大家さんは、じつに満足そうな表情で語るのだ。